創元推理文庫<br> マーメイド

創元推理文庫
マーメイド

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  • サイズ 文庫判/ページ数 338p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488247058
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

娘の名はクリーオウ、自称22歳。とある風の強い午後、スメドラー法律事務所を訪れた被女は、謎めいた台詞を残して帰途についた。そして数日後、ひとつの報せがもたらされる。娘が失踪した、という。捜索に駆り出されたアラゴンだったが、澱んだ池に投じられたこの一石は、人々のあいだに意外な波紋を描き出していく…。心に弱点を負った男女の軌跡を辿る、異色のサスペンス。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くさてる

19
なんともいえない後味に襲われ続けて息も出来なくなるような苦しいお話。ミラーは普通の人々のありえない運命を描くのがとても巧みな作家なので、どの人物にも感情移入できる部分がある。だからこそ、この哀しいお話は辛い。ラストの、素晴らしい解放感ときらきらした生命の輝きと、どうしようもない行き止まり感と絶望の同居が素晴らしかった。サスペンス、ミステリとしてというより、ただこういうお話として、良かったです。2016/01/30

bapaksejahtera

15
前回読んだ「ミランダ殺し」に続く弁護士アラゴンのシリーズ。前作と比べ文体にやや現実感は戻るものの、知恵遅れや精神薄弱の少年少女を預かる私立学校が舞台である点で、引き続きファンタジー感が強い。ここに通うクリーオウという少女は22歳と言いながら精神はローティーンにも達しない覚束なさ。彼女が不得要領な相談でアラゴンを訪ねてきた所から小説は始まる。登場人物に相応しいおかしな偶発事件が幾つか生じ、学校と関係家族が破綻する結末。少女にどんな結末が生じたのかも不透明。甚だ茫洋とした作品だが、愚作と捨て去る事はできない。2022/08/17

アカツキ

14
新米弁護士トム・アラゴン3作目。見た目は可愛らしい女性だが服装も言動も幼い知恵遅れのクリーオウは法律事務所にやってくるとアラゴンを指名して自分の権利について尋ねる。その後、アラゴンのもとにクリーオウの年の離れた兄がやってきて、クリーオウが姿を消したので探し出して連れ帰ってもらいたいと…。普通の女性になるには結婚と子どもを持つことだと暴走するクリーオウとそれに巻き込まれて人生がめちゃめちゃになる人たち。やるせない気持ちで読み終わるが、今作もアラゴンとチャリティーのやりとりが楽しめて良かった。2020/08/21

Ribes triste

12
永遠に少女のままで、無邪気なクリーオウ。彼女に関わったが故に順風な人生を踏み外し、翻弄されていく人たち。人魚の物語はどこまでも哀しい。ミラーの作品にはいつも驚かされます。2019/10/20

Masa

9
読了。ううん、今までのミラーの中では最も好みから遠かった作品かもしれない。いや違う。内容自体は非常に好みなのだけど、どうも深くのめり込めなかった。なぜかはよくわからない。トム・アラゴンシリーズは、『ミランダ殺し』しか読んだことがないけれど、どうもあのときのトムとは違う人物のような印象も受けた。カタカナを読めるようになった娘がリビングの積読本棚から、「パパ、次これ読んだら? マーメイド」と持ってきたので読んだ1冊。そういう意味では、良い記念に。2017/07/12

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