内容説明
要人暗殺に失敗し、母国イギリスへ逃げのびてから3年。ドイツへ再入国し、暗殺の機会をうかがっていたところ、大戦が勃発した。祖国の軍への参加を望んだが、誤解によってその願いはかなわなかった。そこでわたしは、単身参戦し、ひとりで敵を殺し、ひとりで死を迎えようと決心した…。冒険小説史上の金字塔『追われる男』の続編にして、前作を凌駕するスケールと密度を誇る傑作。
著者等紹介
村上博基[ムラカミヒロキ]
1936年生まれ。東京外国語大学独語科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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くたくた
41
『追われる男』の続編。再度ヒトラーの暗殺を目論んで偽造パスポートでニカラグア国籍のナチ信奉者になりすまし、ベルリンに潜入した“わたし”。3年後、英独開戦をうけ、故国に戻って正々堂々と闘おうと志すものの、ドイツのスパイと疑われ英国への入国は叶わず、ドイツに送還されてしまう。そこが起点となり、今回は名前や血筋なども明かされ、東ヨーロッパからギリシャ、トルコ、アフリカまでを駆け抜ける動的な話。それにしてもこのエネルギーに閉口する(苦笑)。読み疲れて後段は流し読みになった。そのうちきちんと読み直そうと思う。2021/01/10
koo
9
「追われる男」の3年後を描いた続編。前作の暗殺失敗後からのドイツからの脱出、戦争に参加する為本国イギリスに戻る為のヨーロッパ縦断の逃避行が描かれます。第二次大戦中の各国の動向をよく知らなかったので逃避行中の各国の対応が非常に新鮮でした。前作伏せられていた主人公の過去、アイデンティティが描かれているのが興味深い反面本人の行動力には中々理解が及びませんでした。前作から43年後の1982年発表なのが驚きですが作者の思い入れが感じられる作品でした。2025/02/09
しゃお
5
『追われる男』の続編でまさに「祖国なき男」といった感じの男の生きざま。マンハントの緊迫感とは違う緊張感が漂う中、男が得るものとは・・・。2009/12/15
takeshi3017
4
なかなか読みごたえのある小説で派手さこそないが落ち着いた趣のある、渋い作品である。冒険小説マニアが好みそうな作品といえる。以下に詳しい感想があります。http://takeshi3017.chu.jp/file5/neta21301.html2014/04/26
wang
4
ヒトラー統治下の欧州をその暗殺犯として逃亡し続ける男の逃避行。フランスからドイツ・デンマーク・スエーデン・ポーランド・スロバキア・ルーマニア・ギリシャ・トルコ・ユーゴそしてアフリカと長距離を時に捕まり時にパルチザンの協力を得ながらあるいは単独でひたすら逃げ回る。長く起伏に富む物語。主人公にただ逃れるという以外の何の目的もないこと、それ故に読者が到達点への迫る気持ちの盛り上がりを持てないのが惜しい。2012/12/26