シークレット・カメラ―ユダヤ人隔離居住区ルージ・ゲットーの記録

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  • サイズ A4判/ページ数 1冊(ペ/高さ 24X28cm
  • 商品コード 9784892385933
  • NDC分類 K316
  • Cコード C8798

出版社内容情報

これは、第2次世界大戦中にポーランドの町ルージに設置されていたユダヤ人ゲットーを写真に収めたドキュメンタリーです。写真家は、自らもユダヤ人として、このゲットーの中に収容されていたメンデル・グロスマン。若く才能のあふれた写真家は、後世に真実を伝えるために、危険を冒して、また病の体をおして写真を撮り続けました。一枚一枚が、悲痛な美しさをもって私たちの胸を打ちます。それは、収容された人々が決して人生の希望を失わず、「自由」を完全に明け渡してはいないからです。これらの写真は、グロスマンと親しい友人たちの悲願に報いて奇跡的に戦災をくぐりぬけ、現在に伝え残されました。

内容説明

第2次世界大戦中、ドイツ軍によってポーランドの町ルージに設置されていたユダヤ人隔離居住区(ゲットー)。そのなかの捕虜の一人で写真家のメンデル・グロスマンは、ユダヤ人の受けた迫害を後世に伝えようと、危険を冒して秘かに写真を撮り続けていた。これらの写真は、グロスマンの意図したとおり残酷な歴史の真実を写し出す一方で、悲惨な状況にありながらも、心の自由を失っていない人間の美しさがありありととらえられている。

著者等紹介

スミス,フランク・ダバ[スミス,フランクダバ][Smith,Frank Dabba]
カリフォルニア州立大学で言語人類学を学ぶ。ロンドンでユダヤ教の律法博士(ラビ)として勤めるかたわら、写真家としても活躍し、雑誌「エコノミスト」などに写真を掲載。ラビ学説による論文「ユダヤ人大虐殺と写真技術」を発表している

ヤコブソン,ハワード[ヤコブソン,ハワード][Jacobson,Howard]
1942年生まれ。敬虔なユダヤ教徒として育つ。ケンブリッジ大学で学び、イギリスとオーストラリアで講師として勤めた。現在は小説家であり、評論家。ノンフィクションも含め著書多数

落合恵子[オチアイケイコ]
1945年生まれ。作家。子ども本の専門店クレヨンハウスと女性の本の専門店ミズ・クレヨンハウスを、東京と大阪に主宰
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あじ

46
ユダヤ人隔離居住区ルージ・ゲットー。彼らはここからアウシュビッツへと運ばれる。ゲットーの存在と強制労働の実態を後の世に残すため、コートの中に仕込んだシークレットカメラで撮影した。故に表紙の少年はレンズに向けて、このような表情をしたのではない。誰でもいい誰かにすがりたい、切迫した悲愴感を一個人のグロスマン氏に訴えているかのようだ。これらの写真の一部はイスラエル独立戦争に巻き込まれて破壊され、残りは友人が手厚く守り世に出した。カメラマンのグロスマン氏はアウシュビッツへ送られる途上、命を落としている。2014/10/19

けんちゃん

23
表紙の少年と目が合ってしまいました。自らもゲットーの捕虜でありながら、ユダヤ人の証明写真など撮影の任務をもつメンデル・グロスマンが、任務とは別にレインコートに穴を開けて隠し撮りした写真の数々。ゲットーの中の日常の貴重な写真は隠され、秘かに友人達に分散して託され、多くの困難を経てわずかに残ったものが博物館展示されているという。命がけの撮影、悲惨な状況を伝える為に、からだを張ったグロスマン、そして関係者達の思いを、重過ぎるほどの思いを目をそらさずに受け止めなくてはと思います。2012/09/25

Cinejazz

15
ポ-ランドの敬虔なユダヤ教徒の家に生まれ育ったメンデル・グロスマン(1913-1945)が、ナチの目を盗みコートに隠し持ったカメラで命を懸けて撮影し続けた、ヨーロッパ各地から強制収容されたユダヤ人ゲット-の人々の目に宿る悲痛の眼差し、家族から引き離された子どもたちの絶叫、ゲット-からの強制連行で二度と帰ることのない死への旅立ち・・・。グロスマンの死後も秘匿され続けた貴重な写真の数々、この、このうえなく過酷な苦しみの記録を見るにつけ、ただただ言葉を失う他なし。2022/08/12

天の川

14
ゲットーでのユダヤ人の迫害を記録・告発する写真をコートのポケットに忍ばせたカメラによって命がけで撮り続けたグロスマン。劣悪な環境にあっても友人たちの弾ける笑顔がまだゲットーにはあった。ここから強制収容所に移送されていく。次々と…。どれだけの命が理不尽に奪われたのか。終わった歴史ではない。グロスマンの現存する写真は少ない。隠していたネガはイスラエルの独立戦争で失われたと後書きにある。この独立戦争は中東戦争。今も泥沼状態にあるパレスチナだ。私たちは「戦後」と気軽に言うが、深刻な地域紛争はおさまることがない。⇒2012/10/03

アキ

9
自らも収容されながら、ユダヤ人写真家メンデル・グロスマンが隠し持った「シークレット・カメラ」で後世に残した、ゲットー内の人々の生きた証しの記録。歴史上の「シークレット」にしないためにも、もっともっと多くの人々に読まれるべき本のように思います。でなければ、今を生きる私たちまでが、彼らの死に加担するようにも思うから。2012/10/08

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