内容説明
1776年,キャプテン・ジェイムズ・クックは〈レゾリューション〉号に乗って3回目の航海に出発した。乗組員を指揮した彼は、翻弄する自然の猛威と戦い、各地の原住民と友好関係を保ちながら、ニュージーランド、南太平洋、ベーリング海峡と船を進めていく。しかしその航海の果てに彼を待ち受けていたのは!? 冒険小説の雄が描く雄大な海洋ドラマ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
8
大航海者ジェームズ・クックの残した日記をベースにハモンド・イネスが調えた航海日記。自身第3回目で最後の太平洋大航海記。喜望峰から幻の南極大大陸を超えてケルゲレン諸島からタスマニアに抜けてニュージーランドの南北島間を通り、ソシエテ諸島(タヒチ)まで太平洋を横断しそこからクリスマス島、ハワイ、ベーリング海峡に達し、アラスカ南岸からカリフォルニアまで至りハワイで住民に殺される。ほぼ4年に亘る超大航海をレゾリューション号(クック船長)、ディスカバリー号(クラーク船長)の2隻体制で走破した不屈の大航海記である。2021/06/27
鐵太郎
5
ジェームズ・クックは、英国の偉大な探検家です。しかし彼の行った探検調査は、結果として英国が抱いた夢を二つとも打ち砕きました。南半球には、植民地候補となりうる豊穣な、人々が居住できる大陸は存在しませんでした。北アメリカの北方には、船が安全に航海できる凍結しない航路は存在しませんでした。落胆した人々も多かったはず。しかし彼が先駆者として残した数々の海の遺産は、彼の功績として英国が海を持つ限り讃えられます。イネスはフィクションを交え、彼の航海をこのように記述しました。2011/07/10