内容説明
殺人現場で捕らえられたのは、目も見えず、耳も聞こえず、口もきけぬ青年だった。本当に彼が殺したのだろうか。フィデルマは捜査を開始する。高貴な一族の血をひく族長の未亡人、族長後継者の年若い娘、ローマ・カソリックの教えを厳しく説く神父、年老いたドゥルイドの隠者。白日のもとに暴かれる、アラグリンの谷に秘められた真実とは?“修道女フィデルマ・シリーズ”第一弾。
著者等紹介
甲斐萬里江[カイマリエ]
早稲田大学大学院博士課程修了。英米演劇、アイルランド文学専攻。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
72
下巻はグッと面白くなった。 フィデルマ強いし。ドルイドの合気技 アイルランドの小さな谷の王国?の殺人事件解決編2023/01/15
南北
58
一見無関係に見えた5件の殺人事件はやがて1人の人物にたどり着いていく。プライドの高い女性たちとフィデルマのやりとりも面白いが、当初犯人と目されたモーエンという青年と指を使った交信手段で様々な証言を引き出していくところが特に興味深かった。フィデルマの姿を通して、古くからの土着の信仰とキリスト教がなんとなく混ざり合っている様子がわかり、好感が持てた。やがてローマ派に圧倒されてしまう前の美しいアイルランドが垣間見えたような気がした。2021/04/02
坂城 弥生
46
事件に絡んでいる人が思っていたより多くて、その根っこにある感情は昏くて深かった。2021/05/17
星落秋風五丈原
27
王妹にしてドーリィー、アンルー、ブレホンと裁判官にして弁護士の資格を持つ最強ヒロインは、不当に土地を奪われただ働きされていた青年を救ったがために、さっそく宿を襲撃される。しかしどんな時でもフィデルマは負けない。というのは「互いの異なる意見や人生論を論じあいつつ彼をからかうという楽しみ」をもたらしてくれ「彼女が投げかける餌にいつも上機嫌で食いついてくる」まるで犬扱いのサックスムンド・ハムの修道士エイダルフがいつも傍にいてくれるからだ。今回赴いた先ではフィデルマに負けないお嬢様気質クローンとのお嬢様対決が。 2006/12/14
ぽんすけ
25
共同体の族長の殺人事件に端を発した連続殺人が、表題の蜘蛛の巣のように張り巡らされた動機を辿ることで見事に解決した。フィデルマって気が長いほうじゃないと思うけど、自制心が効くタイプかな。自分に言い聞かせながら冷静に物事に対処して行くところが良い。森の隠者ガドラは渋くてかっこいい。モーエンも障害をもつ身の上だけどだれよりも聡明な頭脳を持っているとのことなので、教会に入ったあとは幸せになってほしい。あとクローン、最初は高慢ちきで嫌な人間ランキングに入ってたけど、結果彼女が一番気の毒なことになった。救済が欲しい2022/11/07