出版社内容情報
夏至前夜から行方をくらました若者たち。ひとりの母親の必死の訴えがヴァランダーらを動かした。捜査会議を招集するが、刑事の1人と連絡がとれない。好評シリーズ第7弾。
内容説明
夏至前夜、三人の若者が公園でパーティーを開いていた。18世紀の服装、料理、ワイン。彼らをうかがう目があるとも知らず…。イースタ警察署に、夏至前夜に友人と出かけて以来行方不明の娘を捜してくれという母親の訴えが出された。その捜査会議に刑事のひとりが無断で欠席する。几帳面な人物がなぜ?不審に思ってアパートを訪ねたヴァランダーの目の前に、信じられない光景が。
著者等紹介
柳沢由実子[ヤナギサワユミコ]
1943年岩手県生まれ。上智大学文学部英文学科卒業、ストックホルム大学スウェーデン語科修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
366
北欧ミステリー(なのだと思う。定義をよく知らないのだが)。何も知らないで購入したために、いきなりシリーズの第7作目を読むことに。第1作から読んでいれば、レギュラーの登場人物たちにもっと親近感と愛着がわいたことだろう。現在、主人公の警官ヴァランダーは50前で肥満気味の糖尿病持ちと、なんだか情けない状態。それでも物語の緻密さと、構想の大きさは群を抜く。犯罪捜査という過去の事象への遡行と、次々と現在時に生起する事件の、いわば綯交ぜが本作の特徴かと思う。上巻では依然として全体像は朧気だが、大いに期待して下巻へ。2018/07/29
ケイ
141
ヴァランダーシリーズの好きなところのひとつは、彼を中心としたチームが、少しずつ入れ替わりながらも、殉職する人がいないこともあったのに……。親しんだ登場人物との別れはとても残念だ。さて、若者3人が変わったバーティをしている最中に狙われた事件、犯行の目的がわからず、後半が気になる。順に読んでいると、狭い街でのことだから、過去の登場人物達とすれ違いがあるのがまた味わい深い。2018/07/27
セウテス
90
【ヴァランダー警部】シリーズ第7弾、上巻。ある母親から友人と出かけて以来、連絡が取れない娘を探して欲しいと依頼がくる。捜査会議の場に現れない刑事スヴェードベリを心配し、部屋を訪ねたヴァランダーが発見したのは彼の銃殺体だった。やがて若者3人の死体も見つかるが、手掛かりを全く掴めずに、刑事課一同疲労困憊の状態。ヴァランダー自身、恋人が去り元妻の再婚や健康に不安ありと、精神的にも落ち着かないのが良く解る。謎な事だらけの展開だが、人生の不平等や社会の矛盾を強く感じ、それでも仕事をし続けようとする彼に共感している。2022/06/13
KAZOO
85
ヴァランダーが主人公のものでは何か一番愚痴を言ったり疲れたりしている様子が出ています。3人の若者の行方不明や同僚が無残な死に方をするものの、ほとんど手がかりがないような状況です。マイクル・コナリーの作品も読んでいるので比較してしまうのですが、こちらのほうが世情とかをきめ細かく書いている気がします。2015/06/18
巨峰
74
クルト・ヴァランダー警部シリーズ第7作。夏至の前夜に失踪した3人の若者の安否もわからないまま、ヴァランダーの同僚が、、、そして、唯一生き残った少女をヴァランダ―が救うことができるのか。実直な働き者スヴェードベリの穴が大きすぎて、チームの捜査に支障が生じているのが読者から見るとよくわかるけど、刑事たちは目の前の捜査に必死で気が付いてない。人手不足。事件の展開が結構えぐいです。これほど動機が見えない事件もない気がする。い。スウェーデンという国の暗闇が拡がり刑事たちを飲み込んでいく。止まらずに下に進みます。2018/12/30