内容説明
十年前に起きた二重殺人事件は、きわめて単純な事件だったと誰もが信じていました。殺人犯となったボブをあれほど愛していたユール夫人でさえ疑うことがなかったのです。しかし、真犯人は私なのです。時効寸前に明らかになる驚愕の真相。’72年の本改稿版でフランス・ミステリ批評家賞を受賞した表題作にブラックで奇妙な味わいの「連鎖反応」を併録。ミステリ・ファン必読の書。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
72
読友さんからのおすすめ。「殺人交叉点」結構早い段階で明かされた仕掛けに驚いたのもあって、これあのトリック使われてるんじゃと色眼鏡で見ながら読んでた。当たってたものの、そうなるかぁ・・・。しかし、警察その証拠見逃すとか無能過ぎるだろ(なんで出世してんねん!)!!いや、恐喝屋が無事って、いいのか・・・。「連鎖反応」二兎を養おうとする浮気男の計画がコメディじみてる。まさかの成功でとんだブラックユーモアになると思ったら予想以上にブラックユーモア! 伏線しっかり回収。って、あの無能警視が警部の時の事件かーい!?2022/05/30
藤月はな(灯れ松明の火)
48
残念ながらミステリーを読んで仄めかしがあるとある程度、予想は付いたせいか、引っ掛かりませんでした。ミステリー小説における「驚きの~」とかはミステリファンには免疫が付いているから付記するのは蛇足かな。甘ったれな馬鹿息子を溺愛する母親に心底、ムカつきました。後、恐喝者の責任はどうした?どちらかというと同時収録の「連鎖反応」の方が動機の無茶苦茶さと最後の一文と今までの文章のインパクトが強くて思わず、確認する程、見事に騙されました^^2013/06/24
みっぴー
42
ミステリ用語でいう『最後の一撃』系の筆頭にあげられる作品です。『最後の一撃』とはずばりラストのどんでん返し。〝この一撃を放てるのは真の天才のみ〟という解説をどこかで聞いたことがありますが、残念ながら耐性がついてしまった私にはダメージゼロでした…ダメージ幅は明らかに読み手の耐性の有無かと。もう一作の収録作、連鎖反応の方が断然楽しめました。一つの出来事がきっかけで、ガタガタと今までの環境が壊れていくブラックユーモア溢れる作品。こちらのラスト、主人公の体をはった最後の一撃がお見事でした!2016/01/06
ホームズ
41
『殺人交差点』面白かった(笑)何となく違和感はあったけど見事に騙された感じが気持ち良かった(笑)『連鎖反応』も良かったと思う。ジルベールの問題解決に対する考え方が・・・。ラストがいい性格してるな~(笑)どちらもいい作品で楽しめる(笑)2013/03/17
ハタ
39
1972年フランス・ミステリ批評家賞受賞作品。表題作「殺人交叉点」は題名からは想像出来ない程の愛憎と懺悔の物語であり、登場人物の視点の違いを上手く読者にミスリードした作品。帯で湊かなえ氏が推薦しており、オマージュされたかどうかは分かりませんが「告白」と似ている部分が多いです。他一編「連鎖反応」を収録。こちらは文字通り結末の落とし方が秀逸。全編を通して平岡淳氏の翻訳が読みやすい文章であり、感情移入しやすい点もオススメです。2015/08/10