出版社内容情報
1889年、ロンドン警視庁に殺人捜査課が設置された。年間数千件発生する殺人事件に挑む刑事はわずか12人──。ヴィクトリア朝の闇と刑事たちの光を活写する、傑作警察小説。
内容説明
1889年、切り裂きジャックの恐怖が残るヴィクトリア朝ロンドン。地に落ちた警察への信頼を回復するため、ロンドン警視庁に殺人捜査課が創設された。日々捜査に忙殺される中、仲間のひとりが無残な死体となって発見される。事件の捜査を命じられたのは、新米警部補のディだった―。巨大都市にはびこる犯罪の闇、それに立ち向かう刑事の光。斬新なスタイルで贈る傑作警察小説!バリー賞、「ストランド・マガジン」批評家賞ノミネート。
著者等紹介
谷泰子[タニヤスコ]
和歌山県生まれ。1987年大阪大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
70
1889年、切り裂きジャックが闇に消えた直後のロンドン。設立したばかりのスコットランドヤード殺人課の刑事が殺されるという事件が起きる。読友さんの紹介で読み始めたんだけど、冒頭から一気に物語の中へと引き込まれた。犯人はすぐに明かされるのだが、犯人の病んだ部分が丁寧に書き込まれていてそのパートが実に恐ろしい。刑事のパートも少しづつ捜査が前進していくところが目が離せない。犯罪の海に押し潰されそうになりながらも、それでも前に進んでいく刑事たちが実に格好いいのである。一風変わったそれでいて上質の警察小説であった。2017/05/08
papako
50
切り裂きジャックの時代のロンドンで、トランクに詰められた警察官の死体が見つかった。この時代の刑事たちが犯人を追う。複数の事件が絡んでどうなるのか?時代の空気感が伝わってくる。そして、指紋を証拠に使おうとしたり、法医学のはしりの描写があったり。なかなか面白いです。主人公のデイ警部補、ハマースミス巡査がいい感じです。さて下巻へ。2016/03/23
本木英朗
28
英国の警察小説のひとりであるアレックス・グレシアンの長編のひとつである。もちろん俺は今回が初めてだ。1889年、切り裂きジャックの恐怖が残るヴィクトリア朝ロンドン。地に落ちた警察への信頼を回復するために、ロンドン警視庁に殺人捜査課が創設された。日々捜査に忙殺される中、仲間のひとりが無残な死体となって発見される。事件の捜査を命じられたのは、新米警部補のデイだった――という話だ。なるほどね。俺はもう読むしかないってば。「巨大都市にはびこる犯罪の闇と、それに立ち向かう刑事の光」というのも本当だ。(→)2021/06/21
ntahima
22
【読み放題5】舞台は切り裂きジャックの恐怖がまだ消えやらぬ倫敦。設立されたばかりのスコットランドヤード殺人課の刑事達の活躍が主題。因みに複数の被害者も同僚。上下巻513頁で3日間の出来事を描いているので単純計算して1日に171頁。冒頭から第1の事件が発生する。本作は犯人探しや謎解きではなく登場人物の魅力で読ませる。事件を担当する警部補とその妻。ボランティア法医学検査官の大学教授とその娘。そして正義感の強い巡査がひとり。特に上流家庭出身の警部補の妻の戸惑いとスケッチによる検視記録を担当する教授の娘が印象的。2016/08/16
颯奏
19
ヴィクトリア朝スコットランド・ヤード小説。切り裂きジャック事件の一年後が舞台。十九世紀末ロンドンの人々や刑事たちの生活を垣間見れて興味深かった。読み進めれば読み進めるほどに主人公が好きになっていったしお気に入りの刑事もできはじめ……たのに……ウッ……。あ、犯人探しに指紋認証を取り入れるために初めて試みるシーンなどもあって面白かったです。いざ、下巻へ。2015/07/20
-
- 電子書籍
- 日経ヘルス 2021夏号