内容説明
金物屋が次々に襲われ、深夜0時直前、大音響とともに鍋が散乱する。平和な街に続く“金物屋の恐怖”事件。犯人は?動機は?哲学専攻の美しい女子大生オルタンス、事件担当のブロニャール警部、そして高貴な血を引く猫のアレクサンドル・ウラディミロヴィッチ…。何がどうなる?文学実験集団ウリポの一員である詩人で数学者の著者が贈る珍妙な味のミステリ…なのか。
著者等紹介
高橋啓[タカハシケイ]
1953年生まれ。早稲田大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
262
どのように捉えていいのか、ちょっと困惑するような小説だ。それに、そもそも創元推理文庫に入っているのも奇妙だ。それとも、久しくご無沙汰しているうちに、推理文庫とは名ばかりで、広く文学一般を扱うようになったのだろうか。著者のルーボーは、レーモン・クノーの創設した実験文学集団「ウリポ」の一員である。この作品も、複数の語り手を持ち猫までが本書の編集に参画する小説なのだ。実に奇妙な味わいの小説だが、「騙された」と怒る読者もいるに違いない。私自身は、主人公オルタンスの限りなく美しい後ろ姿に免じて許そうと思うのだが。2013/06/07
mocha
107
よく言えば実験的、過剰な悪ふざけとも思える文章に翻弄された。ストーリーはどこ?という状態が数章に渡って続く。「私」という一人称の語り手が何者か5章になるまでわからないし、筆者や編集者、校正者までが口を出してくる。くすっと笑えるところもあるけど、フランス人ならもっと楽しめるのかな?猫ミステリーを期待してたのでちょっと残念。2017/05/09
榊原 香織
88
スラップスティックユーモア哲学ミステリ、といったところか。実験文学集団ウリポの一員で数学者の著者。 パリで起こる謎の窃盗事件。 主人公?のオルタンスは美人哲学学徒。下世話な話ですが、パンティはき忘れるのと警察が朝から勤務中に飲んでるのと、パリでは本当にあるのか? 三体問題もチラ出2024/07/11
こーた
88
パリの街を震撼?させる〈金物屋の恐怖〉事件。捜査は難航し、犯人は杳として知れず、気(毛)高き猫は暗躍し、哲学的女子大生オルタンスは恋に落ちる。語り手は主張し、筆者がそれにツッコミを入れ、誰が何を語っているのかもわからず、読者はそのらせんのような迷路にまよい込み、小説の構造、ミステリの形式そのものと戯れる。読むひとによって、また読むたびごとに、いかようにも深読みのできそうな、めくるめくことば遊びのつらなり。これもまた文学、これもまたミステリ、なのか?2017/08/18
mii22.
52
【猫と読書】なんとややこしい、めんどくさい作品なんだ。作中に著者が度々乱入してきたり、もったいぶった言い回しに、もっと分かりやすく書いてよ言いたくなるけど、そこがクセになってくるというか愉しくなってくるから、不思議。とにかく高貴な血を引く猫「アレクサンドル・ウラディミロヴィッチ」のことがもっと知りたい。そして薄着のオルタンスの美しい姿を見てみたい。でも、パンツははきわすれないでね。2017/04/22
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