出版社内容情報
殺人の動機は伝説のストラディヴァリウス? 高級ヴァイオリン売買の知られざる内情、贋作、緊迫のオークション。ヴァイオリン職人がさまざまな謎に取り組む傑作ミステリ!
内容説明
ジャンニはイタリアのヴァイオリン職人。ある夜、同業者で親友のトマソが殺害されてしまう。前の週にイギリスへ、“メシアの姉妹”という一千万ドル以上の価値があるとされる、幻のストラディヴァリを探しにいっていたらしい。ジャンニは友人の刑事に協力して事件を探り始めるが、新たな殺人が…。名職人が、豊かな人脈と知識、鋭い洞察力を武器に、楽器にまつわる謎に挑む!
著者等紹介
アダム,ポール[アダム,ポール] [Adam,Paul]
1958年イギリス生まれ。1993年、ジャーナリストを主人公にしたミステリAn Exceptional Corpseでデビュー。テレビや映画の脚本も手がける。現在はイギリスのシェフィールドに住む
青木悦子[アオキエツコ]
東京都生まれ。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
442
2つの殺人事件を追うミステリーだが、実質的にはストラディヴァリをはじめとしたイタリアの古典的ヴァイオリンの名器をめぐる蘊蓄の物語。探偵役はクレモナのヴァイオリン職人ジャンニ。彼の犯人探索を通じて、ヴァイオリンの世界の魑魅魍魎を見事に描き出す。展開はひじょうにスリリングで物語としての妙味に富む。しかも、読者はヴァイオリンの世界の深さと狭さとを如実に知ることになる。幻の歴史的名器が音を出すシーンなどは、まさに鳥肌が立つほど。ヴァイオリン音楽を愛するすべての人に推薦!ちょっと他には類を見ないのでは。2017/09/14
W-G
405
楽器や音楽に関する蘊蓄が楽しい。とってつけたようなお粗末なミステリパートとのアンバランスが高田崇史さんのQEDシリーズを思い出させる。もっと本格寄りのミステリを期待していたので、謎解き面は肩透かしな感がなきにしもあらず。しかし、ジャンニの抑制のきいた人物造形が雰囲気あるので、端正なミステリを読んでいるなーという満足感は得られるから不思議。なにより、溢れでる音楽・楽器への愛こそが換えのきかない魅力で、あまり本筋に関係のないソフィアとのエピソードが一番面白かった。それほど改行が多くないのに読みやすい訳も○。2024/05/15
ちょろんこ*勉強のため休止中
176
楽器についての薀蓄も多いが、どちらかというと過去と現在の絡み合う歴史ミステリ。ヴァイオリンの名職人ジャンニが職人仲間の友人を殺害した犯人を探す推理部分と、”メシアの姉妹”という名器を探す探求部分のバランスがよい。一気読みした。ジャンニは名職人だけあって観察力、集中力、洞察力が鋭い。フットワークも軽く、いわゆる名探偵としての資質を備えている。ヴァイオリン業界の流通、贋作についての秘話、オークションの緊迫感などもとても興味深く読めた。イギリスやイタリアの観光ガイド的記述や食事シーンが多いのも魅力。良作と思う。2014/06/19
こーた
144
よくできた虚構は、現実と区別がつかない。どころか、その嘘はときに本物以上に美しく輝く。殺人ミステリと、幻の名器のゆくえ。北イタリアの豊かな田園風景を舞台に、謎解きと宝探しに充ちた冒険を、音楽と工芸品が彩る。物語の弦ははげしく揺れ、ストラディヴァリの振幅と共鳴して美しい旋律を奏でる。完璧なヴァイオリンが観て愛でるためだけに作られたのではないように、美しい文章も巧緻に編まれた物語のなかでこそ、その真価を発揮する。読むものを煙に巻き、嘘のおわりとともに自身も煙となって消え去る。よくできた工芸品のような小説!2018/01/03
Panzer Leader
121
殺された親友の足跡を追っていくうちに幻のヴァイオリンの名器の探索の旅に巻き込まれる初老のジョヴァンニ。黄昏れた感じのこの主人公がいい味を醸し出している。ヴァイオリンを巡る歴史・蘊蓄話も興味深く読めて、まるで「ダン・ブラウン・ミーツ・ヴァイオリン」のようなお話。ミステリー部分は付け足し程度なれども面白く読めた。「最も屈強なイタリア人をも震撼させるもの、それはイギリス料理...」ってどれだけ不味いんだイギリス料理!2018/04/17
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- 日本旧石器時代 岩波新書