感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
46
〔再読〕フリーマン氏の代表的な名探偵ソーンダイク博士の傑作8編の短編集。ホームズのライヴァルたちの一人に数えられるイケメン探偵です。特徴はドイル作品が映画を観ている感覚なのに対して、この作品は演劇が読者の回りで行われていて、いっしょに謎解きをしている参加型の感じがします。世界で初めて創られた「倒叙系推理小説」であり、博士の捜査は「科捜研」の先駆けとなるものでもあります。フリーマン氏の考え方を継いだ唯一の作品は『刑事コロンボ』でしょう。ロマンスや人情話もあり、読みやすく味わい深い良質のミステリーです。2014/11/11
歩月るな
15
冒頭からして他と雰囲気が全く異なる語り口が魅力。全知の語り手による第一部と、ソーンダイクの相棒ジャーヴィス医師による記述の二部構成。語り手は複数いるようだ。探偵の出馬が遅いデメリットはあるが面白い。今、目の前に起こった事件を解決する事が目的で、過去は追わない、事件の背景の出来事は推理しない堅実さ。「人間が研究しなけばならないのは人間ですよ」と語る通り、心理学が流行る以前から筋道を立てて話を組み立てている。これが背景まで心理的に突き詰めると『遺留捜査』になるんだと思うと感慨深い。人情噺もあり読み応え十分ね。2017/10/22
tokko
15
今ではわりとよく見かける倒叙推理小説だけれど、ソーンダイク博士がその萌芽だったんですね。完全に犯罪を犯したはずなのにどこに「落とし穴」があったのか、それを博士と一緒にたどるのが楽しい。負けると分かっているんだけど、博士と推理比べができるので犯人がわかっていても面白いんです。2016/09/14
みっぴー
10
逃げられない!(LR同時押し笑)やっぱり面白かったソーンダイク。犯人が最後まで分からない普通のミステリとは違って、こちらは犯人は始めに示されます。そのあとどうやって犯人に繋がる証拠を集めていくのかを見守るのが倒叙推理なるもの。お恥ずかしながらコロンボを知らなかった私にはこの倒叙推理小説、衝撃でした。ミステリの天敵ともいえる科学的な捜査で徹底的に犯人を追い詰めます。無駄のないスマートな推理を楽しみたい方にオススメです!2015/06/21
timeturner
7
犯人を割り出すための計測や実験が余りにも手がこんでいるので、理系苦手な私は説明を読みながら「めんどくさい」と思ってしまうこともあった(^^;)。皮肉なユーモアがきつめの「モアブ語の暗号」みたいなのは楽しい。2021/05/19
-
- 電子書籍
- 最弱計画~1位になんてなりたくない~【…