出版社内容情報
これは伝説的作家の短編の見立て殺人なのか? ――イギリスの中等学校タルガース校の旧館は、かつてヴィクトリア朝時代の作家ホランドの邸宅だった。クレアは同校の教師をしながら、ホランドの研究をしている。ある日、クレアの同僚が自宅で殺害されてしまう。遺体のそばには“地獄はからだ”と書かれたメモが残されていたが、それはホランドの幻想怪奇短編「見知らぬ人」に繰り返し出てくるフレーズだった……。作中作が事件を解く鍵となる、2021年海外ミステリ最高の注目作! 英国推理作家協会(CWA)賞受賞作家が満を持して発表し、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長編賞受賞へと至った傑作!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
346
本格ミステリ寄りの内容をイメージしていたが、トリックのようなものはなく、物語に直接関係しない装飾的な部分に、若干そういう雰囲気があるだけ。中世の怪奇短編に見立てた?殺人とのことが、そもそも作中で誰もその点を重要視している感じがなく、視点を切り替えて何度も同じ時間を繰り返すので、私見としては退屈だった。意外な犯人ではあったかもしれないが、意外にするために無理くりな設定で登場させた感も強く、頁の都合のためとしか思えないラストの自滅っぷりも微妙。全体的に、ギミックが上手く融合せずに浮いて見えた。2022/11/22
こーた
187
英語教師、刑事、教師の娘の三視点で交互に進み、さらにはヴィクトリア朝時代のゴシックホラー小説や教師の日記、あるいは娘の創作なども間に挿まれ、話は螺旋階段のようにぐるぐると廻りながら高まっていく。全体を俯瞰できるのは僕ら読み手だけだが、書き手もまた読み手であり、互いに入れ替わって信頼できず、僕らをふくめた読み手を大いに幻惑する。殺人事件の犯人探し=フーダニット、あるいは謎解きが主題のミステリとして読むとやや弱いようにもおもうが、その枠にとらわれない愉しみがあった。英国人の現代の暮らしが垣間見えるのも良い。⇒2024/02/22
stobe1904
138
【MWA最優秀長編賞受賞作】作中作と3人の女性の視点を切り替えながらストーリーが語られていく構成で、作中作のゴシック・ホラー的なテイストが古き良きミステリの雰囲気をうまく出している。サスペンスとしてはとても面白いが、ミステリとしては唐突感がありちょっと弱いと感じた。とはいえエンタメ作品としての出来はよく、楽しい読書の時間を与えてくれた。★★★☆☆2021/10/10
のぶ
126
この本のような形式をキャラクター小説と言うらしい。主要な登場人物の性格や行動様式などが、プロットと分かちがたく結びついている作品のこと。そして本書は、中等学校の英語教師エラ・エルフィクが自宅で何者かに殺害されるところから始まる。物語は主人公のクレア。警察のカー部長刑事。そしてクレアの娘、ジョージアの三人の視点から描かれている。「見知らぬ人」という怪奇短篇を書いたことで人気があるヴィクトリア朝の作家が住んでいた館が舞台となっている。構成が複雑でとても書ききれないが、自分はその複雑さに感情移入できなかった。2021/08/27
えにくす
120
★3 英国ミステリー。帯に「この犯人は見抜けない」と有り、探偵として俄然ヤル気になる。中等学校の教師が殺され、遺体の側に「地獄はからだ」のメモが。同校を別宅にしていた作家の文章だった。被害者の同僚クレアと女性刑事、クレアの娘の3人の視点で物語は進んで行く。犯人は確かに意外で、これは誰にも見抜けない。しかし登場人物が多過ぎて混乱するのと、ゴシック風な感じで残念ながら、イマイチ感情移入出来なかった。ただフーダニットとしては素晴らしい作品なので、それに挑戦するのが良いだろう◼️初のキリ番‼️読メ100冊達成✌️2021/08/26
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- 和書
- 万能!薬膳たれ