感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
36
歴史上の偉人を名探偵にしてみようという発想でこれだけの数を揃えた事だけでも凄い上、事件の鍵となるものがその人物と深く関わるという趣向が巧み。ミステリーとしてのクオリティーも高く、『アレクサンダー大王』の普通に見ていた場面が後で全く違って見える毒殺のミスリード、『クック艦長』のWHYから発する伏線の効いたフーダニット、『ナイチンゲール』の不自然さから展開するロジックが特に良かった。惜しむらくは名前も知らない人物がいたので、自分に世界史の知識がもっとあればもっと楽しめただろうに。2017/02/13
kochi
17
ミゲール・セルバンテスは、決闘で傷付いたらしい男を介抱するが、事切れた時に男は「ミゲール…」と告発の言葉を残す。身の証を立てるために、真犯人を探すセルバンテス… 歴史上の人物が、自身のまわりで起きた事件を解決するために、探偵役とならざるを得ない状況となり、解決に取り組むという短編を集めたもの。史実とフィクションを上手く噛み合わせて、あったかもしれない事件とこの人物ならこうかも?という解決をでっち上げているところに特徴あり。面白いし、この短編集の後にも同じ趣向の本が出されているので、一定の評価を得たものと。2020/09/04
rinakko
17
え、かの人に探偵役を振りましたの? 歴史上のあの…? と、まずはそこを楽しむ短篇集。例えば「名探偵ウマル・ハイヤーム」では秀でた学者ぶりが描かれ(閏年を置いたジャラーリー暦のことも《ルバイヤート》も出てくる)、「名探偵ドン・ミゲール・デ・セルバンテス」では『ドン・キホーテ』の後援者確保の為に作者自ら…の場面などもあり、謎解きに派手さはあまりないけれど、その偉人ならではの真相へのたどり着き方が面白い。他に好きだったのは、「名探偵クック艦長」や「名探偵フローレンス・ナイチンゲール」。2016/10/04
Ribes triste
11
「歴史上の偉人が殺人事件の捜査をしたら」そんな面白い視点で書かれた短編集。国も時代背景もくるくる入れ替わるので、読んでいて飽きさせません。クック艦長編とナイチンゲール編がよかったです。2018/05/04
かながわ
8
偉人だったら1回くらい名探偵やっとるやろ!ていう発想がもう勝利。短編で読みやすいけど浸りづらくもある。日本版で競作でアンソロにならないかしら。2022/06/26