内容説明
ある朝、洗面台の鏡の前で髭を剃っていたぼくの身体右半分が、女になってしまった。顔だけじゃない。頭のてっぺんから胴体まで、見事に右半分がけっこうはでめの見知らぬ若い女性になってしまったのだ。こうしてぼくらの奇妙な二重生活がはじまった…。「半身一体」ほか、なぜか人々がもうひとつの世界にどんどんいってしまう「振り向けばユートピア」などありふれた日常と異世界との奇妙な接触を描く短篇の数々を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
54
「ラヴ・ペア」の世界と地続きだけど、しかしちょっと笑えない悲喜劇の短編。不条理は何も深刻さを抱える世界だけではなく、笑うしかないシチュエーションにも現れてくる。作品によく出てくる描写に、半透明な、はっきりとした感触のない物体や生物などがあるが、こういうものを書くのは、岬さんの得意技なのだろう。不気味なのに美しさを感じる。「筍族」「分断生活」がよかった。2019/05/23
ぶっくlover
10
この短編集面白い。ショートショートではなくてショート位の長さだけれど、星新一の世界を彷彿とさせる。2019/07/07
た〜
4
【設定重視型】(発掘再読)この作者はちょっとエロの入った笑わせる話が多いと思っていたがこの本はその両方控えめ。よくもまあこんな設定思いつくよな、と、感心させられる話ばかり集めた短篇集。ただ、基本設定の突飛さと比べオチは若干平凡なのがちょと残念。2014/01/06
ナガサワ
3
岬兄悟の短編集。表題作よりも、『筍族』が良かった。背徳間と寂寥感の入り交じった、彼の作品ではほかに見られない感じ。他は王道のライトSF。『分断生活』はニヤリとさせられる。最後の『ちがうんじゃない?』は、やはりちがうんじゃない?この作品のテンションは疲れる。2012/09/26
Mitzz
3
初めて読んだ岬氏作品。星新一に似たループ型ショートショート。発想もコミカルさも文体もすっきりしていて面白い。ただ、全編通して読むと、ぜんぶちゃんと異なっているのに受ける印象が似通っていて、少し食傷気味な気持ちになる。2010/04/30