内容説明
コネチカット州の小さな町で、顔を砕かれた若い女性の死体が発見された。頭蓋骨をもとに復元された生前の容貌が導き出したのは、女優になる夢を抱いて故郷を出た少女が惨殺されるまでの5年間の空白だった。その間に何が?そして、彼女を殺したのは?ダナハー警部とマロイ刑事は被害者の過去を追い、ニューヨークへ…。『失踪当時の服装は』と並ぶ警察小説の巨匠の初期傑作。
著者等紹介
ウォー,ヒラリー[ウォー,ヒラリー] [Waugh,Hillary]
1920年アメリカ生まれ。1952年に刊行した『失踪当時の服装は』で注目されて以降、地方都市を舞台にした警察小説を発表。コネティカット州ストックフォード警察署のフェローズ署長を主人公にしたシリーズは、『事件当夜は雨』『冷えきった週末』など、本格ミステリの妙味溢れる緻密な秀作が多い。1989年にMWAから生涯功労賞を贈られる。2008年没
沢万里子[サワマリコ]
1950年、東京都に生まれる。埼玉大学教育学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペグ
68
ブラックダリアを思わせる凄惨な事件を、頑固一徹なダナハー警部と新進気鋭マロイ刑事が捜査にあたります。マロイ刑事の複顔製作で事件の真相が徐々に明らかになってくる。無駄な場面も無くて流石ヒラリー・ウォー。安定の警察捜査小説でした。 2018/07/06
セウテス
68
〔再読〕堅実にシンプル、何度読んでも面白い。1953年、一人の女性が顔を潰されて殺害される。科学捜査が充分でない時代、被害者の身元すら中々解らない。ドキュメントタッチの警察ミステリであり、本作は「ブラックダリア」を思い出す。女優になりたいという一人の女性の願いは、苦労と挫折の5年の果てに、何故殺される事になったのか。主人公は昔気質で証拠は足で探すダナハー警部と、事件を推理するマロイ刑事のコンビである。通常部下が足で情報を集め上司が推理するのだが、本作はそこに捻りがある事で、推理する警察小説が楽しめる傑作。2018/02/23
cinos
47
小さな町の公園で発見された身元不明の死体。その死体をめぐって地道な捜査が進められるが…。行き詰まるごとに新しい展開があり、シンプルな真相に行きつきます。事実を求める上司と推理をめぐらす部下のコンピもいいです。ヒラリー・ウォー、本当に面白い!2020/08/03
*maru*
42
著者4冊目。コネチカット州ピッツフィールドを震撼させた残忍な事件。公園の茂みで発見された女性の死体は顔を潰され胴体が切り裂かれていた。被害者の身元は?5年間の空白とは?初期からすでに確立されていた読み手を夢中にさせる高い文章力。地道な捜査からの終盤の見せ場。毎回言うけどヒラリー・ウォーは巧い。地味だけど面白い。仕事が丁寧だ。仮説と事実、捜査の道筋など、真相までの過程を楽しみたい読み手には大満足の内容。偏屈毒舌ダナハーと、その部下マロイのコンビもなかなか良かった。2018/05/01
yucchi
40
ある日、顔を砕かれ胴体も切り裂かれた若い女性の死体が発見される。数少ない手がかりの中から少しずつ操作を進めていく二人の刑事。事実を求めあちこちに捜査の手を広げるダナハーと、彼に叱咤されながらも突破口を見つけたり、地道に聞き込みを続けるマロイのコンビが良い。ラストが少し駆け足気味で終わってしまったが、捜査物が好きな人は楽しめると思う。2016/03/30