出版社内容情報
不気味なまでに精巧な絞首台の模型。この面妖な贈り物を端に発して、霧深いロンドンに奇怪な事件が続発する。喉を掻き切られた死者を運転席に乗せて疾駆するリムジン、十七世紀に実在した絞首刑吏〈ジャック・ケッチ〉の名前を差出人にして届く殺人予告、そして霧のなかから現れる幻の街〈破滅街〉――悪夢の如き一連の怪事件に、予審判事アンリ・バンコランが挑む。横溢する怪奇趣味と鮮烈な幕切れが忘れがたい余韻を残す長編推理。
内容説明
絞首台の模型の贈り物を発端にバンコランを待ち受ける奇怪な事件。伝説の絞首人の影が霧深きロンドンの街を彷徨う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
122
学生時代に読んでいたのを途中で思い出し、ついでにカラクリも思い出してしまったので、駆け足で読了。魔王バンコランの怪傑ぶりがここ作品の魅力かも。作品の舞台の時代に合わせるためなのかもしれないが、せっかくの新訳なのに語調がかたく、漢字が多くて読みにくく思えた。それにしても、人道的にどうなのかと思える反応は…、 これがバンコランなのかしら。一緒に苦笑するしかない。2018/01/19
NAO
74
ディクスン・カーの新訳。冥界から地上に降り立った悪魔のような雰囲気をまとったパリの予審判事バンコラン。送られてきた絞首台の模型。イギリスの処刑人ジャック・ケッチを名乗る不気味な犯行予告。おぞましさを累乗するような仕立てなのだが、文化の差なのか翻訳が今一つなのか、そのおぞましさがいまひとつ伝わってこないいのだ。とにかく、読みにくかった。2019/08/26
みっぴー
60
好きなカーでした。怪奇趣味全開で、読ませます。夜中にいきなり現れる絞首台、幻の街“ルイネーション街“で絞首台に吊るされる男、死人が運転する車、誰が送ったのか分からない絞首台のミニチュアのプレゼント。謎解きより雰囲気を楽しむことにしました。しっかりと陰鬱な霧のロンドンを思い浮かべ、魔王バンコランの悪魔染みた人となりを想像する。最後のあのシーンは、魔王が人間に代わって罪を下したと解釈。バンコランシリーズは、ラストが壮絶のようです。2018/01/19
hit4papa
55
予審判事アンリ・バンコランが主役のミステリ シリーズ第2作目(1931年)です。バンコランは、死者が運転する車、存在しない街の絞首台、17世紀の実在の首切役人ジャック・ケッチから届いた脅迫状、といった奇々怪々な数々の謎をどのように解き明かすのでしょうか。真相は、まったくの予想外なものとなってしまいました。振り返ってみれば、伏線はあちこちに散りばめられていますね。細かくて伝わりにくかったり、現実的かはどうかは疑問が残りますが、見事に回収してくれます。残酷な結末です。でも、本シリーズはそこが良いのです。2019/11/09
星落秋風五丈原
48
『髑髏城新訳版』でもそうだったのですが、どうやら人物紹介で遊ぶ事を覚えてしまったようです(誰が?)。今回も負けていません(何に?)。 リチャード・スマイル 運転席で首を切られ、ドライブを満喫/グラフィン 転がるうちに苔ならぬ甘い汁にまみれた石 とうとう人外になっちゃいました。石ですよ石。物語はバンコランと元ロンドン警視庁副総監でザ・英国紳士のサー・ジョンの会話で始まります。イギリスではないヨーロッパでは衝動殺人が多いという元警視副総監の言葉にバンコランがイギリス人こそ行き当たりばったりの犯罪をやると反論。2017/11/28
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