内容説明
人殺しはへまをする―とフレンチ警視は言う。しかし犯罪者が失策をしでかさなければ未解決の事件が山を成し、フレンチは体がいくつあっても足りないだろう。万全を期したはずの犯行はいかに看破されたか。完全犯罪の夢破れた二十三編の、自業自得ながらも気の毒な敗北の記録から得られる教訓は、犯罪は引き合わない、とりわけ優れた捜査官がいる場合には、ということであろう。
著者等紹介
井上勇[イノウエイサム]
1901年4月、広島県に生まる。1923年東京外語大卒。英米仏文学の翻訳に活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
335
★★☆☆☆ フレンチシリーズの短編集。 最初に犯人視点で事件が語られ、後半でフレンチが犯人を見破った理由を語る「二重の物語」と、最初からフレンチ視点で事件が語られる「単独の物語」の2パターンに分かれている。どちらも犯人当てクイズ的な要素あり。 短くてそれなりに楽しめるが、つまらないものも混じっている点には注意。個人的にはそこそこ楽しめたのだが、クロフツは長編の方が絶対面白いのであえてこの本を薦めることはないと思う。2023/05/12
ホームズ
10
短編は長編とは違った感じですが楽しめます(笑)フレンチ警視のかたる犯人達の「へま」が面白かった(笑)2011/08/17
ryo
9
『樽』や『クロイドン発』で有名なクロフツの短編集。10〜20ページほどの短編が23作織り込まれており、おつまみ感覚で楽しめる。前半は倒叙がメイン。殺人者の視点で完璧と思われた犯行に対して、フレンチが指摘する「へま」がどこにあるのか、という点が見どころ。銃の機構や当時の建物の作りなど、現代人からはイメージしにくい所がトリックの肝になっていることも多いので、納得の快感が薄れがちではある。ただ今でも楽しめるトリックもちゃんとあって、フレンチによる読者への挑戦に挑んでみるのも面白い。倒叙好きの人は一読の価値あり。2021/11/15
一柳すず子
6
ラジオドラマ用に書かれた倒叙ものの短編集。謎は分かりにくいけど短いのでさらっと読んでしまって十分楽しめる。音声で聞いてみたらまた違った面白さがありそう。お金持ち、または被害者の死によってお金持ちになる女性をモノにしたいというゲスい動機が多かったな。表紙の写真が好きだ。2014/04/20
Q_Q
4
犯行動機や舞台、登場人物の役柄の重複っぷりにそこは惰性、やっつけで書いてるな?と思わせる。でもコロンボ式推理小説なので探偵の見せ場はそこではないので問題なし。短短編ですし、犯行動機がほぼ金っていうのがリアルでよい。女絡みでも金、いい!最後の話は読んでる最中にん?と思わせ、もしやと思わせやっぱりとなる素晴らしさ。ほんとに短い話なのにすごいね。2014/05/28