出版社内容情報
第四十二日から第六十六日まで、そして大団円。
ついに壮大で奇想天外な物語が、その円環を閉じる。
巻末に「第四十七日」の異本と、
訳者による「ヤン・ポトツキについて」を併録。
工藤幸雄による異本『サラゴサ手稿』の全訳
異本『サラゴサ手稿』工藤幸雄訳、完結。第四十二日――第六十六日。巻末に訳者による「ヤン・ポトツキについて」を収録。「幻想小説の形を借りてポトツキは、とらわれない自由な思考、偏見のない世界観、さらにまた平等な宗教観を、それらを妨げるものとしての強健に対する批判を、強力にしかし洒脱に繰りひろげていると言ってよい」――工藤幸雄
内容説明
迷路のように複雑で奇想天外な物語は、六十六日間に亘り読者を翻弄し続けたが、ついに思いもよらぬ形でその円環を閉じる。今世紀に入り真正版にあらぬ異本とされた本版だが、その魔術的なほどの魅力で読者を惹きつけてやまない。巻末に付録として「第四十七日」の別版も併録、訳者による「ヤン・ポトツキについて」も収めた。
著者等紹介
ポトツキ,ヤン[ポトツキ,ヤン] [Potocki,Jan]
1761年、現ウクライナ領ピクフでポーランドの大貴族の家に生まれる。作家、旅行家、歴史家、考古学者、民族学者。家庭ではフランス語で育てられ、生活語としてポーランド語、ウクライナ語、ドイツ語の他に、弟とともに送られたスイスの塾で、英語も身につけ、さらに成年までにロシア語、スペイン語、イタリア語も習得、八か国語に通じていた。本書『サラゴサ手稿』はポーランド語より通じていたフランス語で書かれたものである。1815年、自宅でピストル自殺を遂げた
工藤幸雄[クドウユキオ]
1925年、大連生まれ。ロシア・ポーランド文学者、詩人、翻訳家。東京大学仏文科卒業。アメリカのインディアナ大学大学院修士課程中退後、共同通信社外信部記者、ワルシャワ大学日本学科講師を経て、1975年に帰国。多摩美術大学教授となる。訳書に『ブルーノ・シュルツ全集』(第50回読売文学賞“研究・翻訳賞”受賞)、W・コンブロウィッチ、I・B・シンガー、C・ミウォシュ、M・パヴィチ等、訳書多数。2008年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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