内容説明
１９７４年にヨーロッパへ取材した薔薇と香りの虚用書『薔薇幻視』『香りへの旅』を一巻に収録。時間と空間を超えた中井英夫眷恋の地を、佐藤明撮影のカラー写真多数と共に鮮やかに再現。“かしこ”にのみあり、ついに“ここ”にはない美の迷宮を訪れた記憶は、しかし決して失われてはいなかったのだ…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Saku
13
中井英夫がヨーロッパへ旅行した際の紀行文。『薔薇幻視』と『香りへの旅』それぞれ薔薇園でのエピソードと香水に纏わるエピソードであるが、著者も言っている様に実用的な事には触れず美意識によって高められる『幻想』として綴られていく。時にその高い美意識は現実をおおいに嘆くために、中井英夫を読むときはある程度体力がいるのである。 2023/05/09
青緑
1
あまりに強い幻想に引き込まれそう。濃厚な香水に当てられた時のような酩酊感。2009/06/19
