出版社内容情報
西崎憲〈蕃東国年代記〉など読切、恩田陸と東雅夫の特別対談、怪奇幻想小説の翻訳概況ほか。小林泰三、真藤順丈ら好評連載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みつ
15
特集の怪奇・幻想小説では、関東大震災後の浅草を舞台にした、傷ついた少女たちが出演する頽廃的な劇団、という魅力的な設定のものもあったが、ぴんとこない。むしろ、最後の宗教戦争とも言われたヨーロッパの三十年戦争末期のクリスマスの奇蹟を描いた掌編が印象的。東京五輪前夜の東京のパニックを描く連載の福田作品は、情報テロが加わり、大消費都市の脆弱性がますます露わに。令和時代に移る十連休のイベント広告会社を描く古内作品は、数年前のこととは思えない。遺品博物館のシリーズの今作は、美しいイメージに彩られた、余韻を残す物語。2023/04/02