出版社内容情報
大阪の商人文化の中心地として栄華を極めた船場――戦下の昭和18年、婦人化粧品販売で富を築いた大鞠家の長男に嫁ぐことになった陸軍軍人の娘、中久世美禰子。だが夫は軍医として出征することになり、一癖も二癖もある大鞠家の人々のなかに彼女は単身残される。戦局が悪化の一途をたどる中、大鞠家ではある晩“流血の大惨事”が発生する。危機的状況の中、誰が、なぜ、どうやってこのような奇怪な殺人を? 正統派本格推理の歴史に新たな頁を加える傑作長編ミステリ!
内容説明
大阪の商人文化の中心地として栄華を極めた船場。戦下の昭和十八年、陸軍軍人の娘・中久世美禰子は婦人化粧品販売で富を築いた大鞠家の長男に嫁いだ。だが夫・多一郎は軍医として出征し、美禰子は新婚早々、一癖も二癖もある大鞠家の人々と同居することになる。やがて彼女は一族を襲う惨劇に巻きこまれ…大阪大空襲前夜に起きる怪異と驚愕の連続を描き、正統派本格推理の歴史に新たな頁を加える傑作長編ミステリ!
著者等紹介
芦辺拓[アシベタク]
1958年大阪府生まれ。同志社大学卒。86年「異類五種」で第2回幻想文学新人賞に佳作入選。90年『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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akky本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
119
満足の一冊。時は明治から昭和初期にかけて。舞台は商人の町、大阪 船場。これだけで充分ストーリーにのみこまれる。後継ぎ長男が行方不明、次世代の長男は結婚と同時に出征、そして起きた連続殺人事件。次々と大鞠家に襲いかかる悲劇。夫の帰りを待つ長男の嫁、美禰子は何を知り行くのか…ボリュームも気にならないほどの展開が面白い。一族内での殺人事件、スケキヨを思い出す逆さスタイルには横溝チックを感じられてまた良かった。満足感がきちんと残る、戦中戦後という時代背景、商人文化、人のドス黒さがきちんと活かされた正統派ミステリ。2024/01/21
遥かなる想い
107
2023年このミス国内第8位。 明治から昭和にかけて 大阪の船場の 商家に起きた事件を 描く大河歴史ミステリーである。 戦時下の大阪の商家の窮屈な規律と 不可思議な論理が 今に蘇る。 犯行の動機がしっくりこなかったが、昔ながらの家に纏わる不気味さが懐かしい、本格ミステリーだった。2022/12/25
オフィーリア
75
夜な夜な踊り狂う赤毛の小鬼、酒で溺死させられた死体、不気味なミステリ要素てんこ盛りながらも、戦時中という異様な状況下での大阪豪商の描写がとても丁寧。 コテコテの本格ものとしても当時の風俗を描いた歴史小説としても楽しめるお得な作品でございました。2023/11/01
ばう
74
★★★★ 戦時下の大阪、大空襲の夜に船場の商家で起きた惨劇。縊死、酒樽の中での溺死、ミイラ化した死体…それらの真相は謎のまま迎えた終戦後、1人の女性が見事に謎を解き明かす。363ページ、しかも2段組で最後まで読むのにどれだけ時間がかかるかしら?と少々恐れながら読み始めたら、あっという間に読み終えてしまいました。奇想天外な殺人方法、その元となる数々の推理小説、そして個性豊かな登場人物たちに時の経つのも忘れて読了。戦時中の大阪の話なのに何故か一昔前の本格推理小説を読んでいるようなワクワク感がありました。2023/05/20
koma-inu
69
大阪市を舞台とした昭和十八年のミステリ。私、産まれも育ちも大阪市なので、地名が色々出てくるだけでワクワクしました😇横溝ライクな雰囲気で起こる連続殺人。殺害のトリック自体も古くさく、お話の雰囲気と合ってていい感じです。本書の読み応えは事件そのものより、探偵小説のルールを破るかのようなメタ要素。「探偵」をああいう風に使ったり、クィーン、ヴァンダイン、クリスティのアレを・・などなど。言われてみればの要素が盛り込まれてて、ニヤリとなりました。ミステリマニアは、より楽しめる作品と思います。2024/03/02
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