出版社内容情報
“廃墟テーマパーク”にそびえる「兇人邸」。班目機関の研究資料を探し求めるグループとともに、深夜その奇怪な屋敷に侵入した葉村譲と剣崎比留子を待ち構えていたのは、無慈悲な首斬り殺人鬼だった。逃げ惑う狂乱の一夜が明け、同行者が次々と首のない死体となって発見されるなか、比留子が行方不明に。さまざまな思惑を抱えた生存者たちは、この迷路のような屋敷から脱出の道を選べない。さらに別の殺人者がいる可能性が浮上し……。葉村は比留子を見つけ出し、ともに謎を解いて生き延びることができるのか?! 『屍人荘の殺人』の衝撃を凌駕するシリーズ第三弾。
内容説明
”廃墟テーマパーク”にそびえる奇怪な屋敷。深夜侵入した葉村と比留子を異形が襲う。入ったが最後、姿をみることは二度とない。『屍人荘の殺人』シリーズ第3弾!!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
938
待望の三作目。過去二作よりもエンタメに寄せた内容なものの、謎解き部分の丁寧さや、特殊設定とミステリ部分が解離せずに意味を持たせ続けている点に、しっかりと著者の拘りを感じる。こういう方向にシリーズの幅を広げられたのは収穫だと思う。若干気になるのは、素人でも調べられるような状況で、稼働中のテーマパーク内に秘密機関のデータが残されている不自然さと、生き残りが誰なのか、皆で掌に傷をつけて回復を見れば、すぐに発見出来るのに一切触れられない点。脱出方法や怪物への対応に関わることなので、誰も言い出さないのはおかしい。2021/08/07
パトラッシュ
761
第一作はホラーとミステリの見事な融合だったが、二作目は正直今ひとつだった。そのため先行きが心配だったが、新作は十分合格点に達している。異常な世界へ読者を引き込むドラマは巧みだし、類例のない新奇な密室殺人を解明する比留子の鋭い推理は本格ファンを堪能させる。最終頁で再登場した「彼」は、シリーズ読者には次作への最高の引きとなろう。しかし読むたびに感じるが、巨悪たる班目機関が「仮面ライダー」のショッカーに思えてしまうのだ。組織も支援者もないのに研究成果が生き残り惨劇を起こす理由を、作者はどう設定するつもりなのか。2021/09/11
青乃108号
735
シリーズ3作目、図書館予約から3ヶ月、ようやく読めた。明日が図書返却の期限日なのにこの本の佳境を残して、またも宿直明けですっかり寝ぼけた頭の俺。読まなくちゃ。ややこしい部分は全く頭に入らないけど、読まなくちゃ。読んだ。頑張って読んだ。かなり強引な力で思い切りぶん回されたような感覚。自分でも何言ってるかわからないが、そのような感覚しか表現出来ない。クリアな頭で、余裕のある時にじっくり読みたかったけど仕方がないな。面白いシリーズだと思うし、まだ続きがありそうなのでその時はまた読んでみよう。2021/12/14
stobe1904
659
【葉村・剣崎シリーズ第3弾】今回の舞台は廃墟をモチーフとしてテーマパークに葉村と剣崎の2人と怪しげな傭兵たちだが…。止む終えない理由からクローズドサークルとなった廃墟の屋敷で起こった数々の失踪事件、暗躍する巨人と首を切断された遺体など、ホラーテイストのクローズドサークルミステリとしてお膳立ては言うまでもなく、収束ぶりも素晴らしい。シリーズベストの出来ではないだろうか?次作が楽しみな作家の一人。★★★★★2023/01/29
麦ちゃんの下僕
649
あああっ!!…ミステリーを読んで“慟哭”したのは、一体いつ以来でしょう?まさに胸を抉られるような衝撃を感じた、あまりに悲痛な物語でした(泣) 待望の「剣崎比留子シリーズ」第3弾は、“廃墟”を売りにした遊園地内に聳える奇怪な館が舞台。“異形”の恐怖に怯える中で殺人が!?という展開は、一見『屍人荘の殺人』に似ていますが…葉村以外の人物も語り手を務めることや“現在”&“過去”が交互に描かれること、“安楽椅子探偵”と化す比留子、そして人間ドラマとしての魅力の深化…シリーズとしての着実なステップアップを感じました!2021/08/21