出版社内容情報
不可解な行動を取る妹に揺れ動かされる姉の心理を巧みに描く「小生意気リゲット」など、美しくどこか切ない読後感の短編集。鮎川賞作家・相沢沙呼のベストセレクション。
内容説明
小袖は読書が好きなおとなしい高校生。法事で祖父のもとを訪ねた際に、従妹から奇妙な質問をされる。「死んだ人から、手紙って来ると思う?」祖父宛に最近届いた手紙は不可解な内容だったが、六年前に亡くなった祖母が昔に書いたもののようだ。それがなぜいまごろになって?誰かの悪戯なの?思い悩んだ小袖は、その手紙の謎をある人物に話すことに…。表題作をはじめ、揺れ動く少女たちの心理を巧みに描いた、鮎川賞作家の最新短編集。
著者等紹介
相沢沙呼[アイザワサコ]
1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2011年「原始人ランナウェイ」が第64回日本推理作家協会賞(短編部門)候補作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁かな❁
142
前から気になっていた相沢紗呼さん作品を初めて読みました!とても切なくほろ苦く澄んだ空気を感じて良かったです★5編の短編集。女子高生の気持ちとかよくわかってるなぁと思いました。著者が男性だとはびっくり!文章もとても綺麗です。『小生意気リグレット』でいきなりとても泣いてしまいました(;_;)私も二人姉妹なのでお話と同じようなことはなかったのですが気持ちがわかりました。『チョコレートに躍る指』『卯月の雪のレター・レター』もすごく切なかったです。表題作も表紙も今の季節にピッタリで良かったです♪素敵な作品でした*2014/04/16
ちはや@灯れ松明の火
93
あなたへと届けたいことばは、春の淡雪のように空に消えていく。閉ざした心のむこう、あなたは秘密を隠す、わたしは仮面を被る。ふたりを繋ぐ糸は頼りなく、でも断ち切れなくて。泣かないで、ただそれだけも言えない。あのひとの代わりにはなれないから。吐き散らした叫びの破片が突き刺さる。うまく笑えずに、また嘘ばかり重ねて。あなたが奪い取った夢、わたしが手放した想い、嫌いになれたら楽なのに嫌われるのは怖い。わたしを、わたしとして、受け入れてほしい。鈴が鳴る、あなたの声が聞こえる。てのひらに、溶けない卯月の雪が舞い降りる。 2014/01/21
ひめありす@灯れ松明の火
89
雪がとけたら何になるでしょう?水になりましょうか。いえいえ、そうではありません。雪がとけたら、春になります。卯月の桜に降る雪は、淡くとけるたまゆらの雪。掌に届くよりも先に消えた貴方と私の真実。諦めきれなかった夢、仲互いの少女達。全てを優しく包んで、全てを赦して雪よ降れ。あの日出せなかった手紙は結局心の奥に沈めてしまったのに、何故返事を待っているの。千切った手紙を水色の空に向かって放り投げたら、それは花吹雪にも雪にも見えて。latter later。手紙の後には、ほら貴女が待ち望んだ暖かな季節がやって来る。2014/02/28
タックン
85
いつものミステリーっていうよりも少女や女性たちの心情がミステリー仕立てになってる5つの短編集。女性の名前っぽいこの作家さんはじつは男性なのに少女とかの心情をまるで女性かのように淡く上手く描いてる。個人的には(小生意気・・・)が爽やかで好きだけど教育とかいじめとかの問題を扱ってて考えさせられるので(狼少女・・・)が上手いかな。表題作は小袖の心情の描き方がいいし手紙の謎の話もいい。それに卯月の雪が○○○かあ、納得。(チョコレート・・・)は最後に納得したけど2度読みが必要だあ。 軽く読めてお勧め。2014/01/15
ダイ@2019.11.2~一時休止
84
日常の謎系の短編集。狼少女なんかがイイ。2014/06/07