出版社内容情報
1984年、空前の好景気に沸く札幌ススキノ。キャバレーの敏腕黒服・黒頭の周囲で起きる男と女の群像劇。はかないバブルの時代を練達の筆致で描く、著者にしか書けない物語。
内容説明
クラブ経営を夢見るホステスが巻き込まれた奇妙な事件、地上げ騒動の陰に暗躍する女、望むものはすべて手に入れられる実業家のとてつもない浪費の顛末、そしてその莫大な金に群がる政治がらみの男たち―。1980年代、空前の好景気に沸く札幌ススキノ。東京以北最大の歓楽街で繰り広げられる、男と女の群像劇。
著者等紹介
高城高[コウジョウコウ]
1935年、北海道函館市生まれ。東北大学文学部在学中の1955年、日本ハードボイルドの嚆矢とされる『宝石』懸賞入選作「X橋付近」でデビュー。大学卒業後は北海道新聞社に勤めながら執筆を続けたが、やがて沈黙。2006年『X橋付近―高城高ハードボイルド傑作選』で復活を遂げる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
28
高城高氏が今は亡き、黒服のベテランに捧げたバブル時の薄野での黒服の活躍を描いた短篇集。落とし前をつけるときは自分から頭を下げて暴行も甘んじて受け、這い上がろうとする女には優しい黒頭さんが素敵です。「預金残高一億一千円」ではお金の価値が当時とは違っていたけど堅実に夢を追う人はいること、「フィリピン・パブの女」は当時の外国人労働者事情などの風俗などが描写されており、バブル時を知らない者でも現在と異なっていても地繋がりである時代の空気を少しばかりは感じることができました。2013/03/27
まど
19
バブルで華やかな頃の札幌の夜の街の物語。まじめに丁寧に描かれていて面白かったけれど、文章やキャラクターに色気がもう少しあったらうれしかった。2013/05/08
どんぐり
15
これはハズレ。札幌ススキノのキャバレー<ニュータイガー>の副支配人、黒頭悠介を主人公にしたハードボイルド作品。1980年代、歓楽街で繰り広げられる男女の群像劇。作品世界も、時代から取り残された古紙の臭いがするものだった。ストーリーが面白くないのが欠点。タイトルのつけ方から想像すべきだった。2013/10/28
そのぼん
15
ススキノの歓楽街に生きる人びとを描いた物語。夜の世界のお話で、なんだか新堂冬樹の作品を読んでいるようでした。『黒い太陽』も夜の世界にを描いた作品だったので、パッと頭に浮かびました。この手の世界って普段関わることがないので、本当にこんな感じなのか気になりますね。2012/09/13
usanosuke
9
札幌・ススキノを舞台に、黒服の世界を描いた連作短編集。キャバレー〈ニュータイガー〉の副支配人・黒頭悠介とともに描かれたバブル期のススキノが秀逸。時代考証もしっかりしていて、ホステスや黒服たちの精緻な描写から、ススキノという歓楽街の当時のざわめきが目の前に蘇ってくるようだ。いかなる修羅場でも信念を貫くタフさや優しさなど、黒頭の魅力もハードボイルドファンには堪らないだろう。著者は数年前から作家活動を再開しているようだが、全くブランクを感じさせない熟練の筆致は見事。独特の高城ワールドを堪能できるおすすめ作品。2013/08/10
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