出版社内容情報
こじんまりとしたバーで、「わたし」が初対面の男から持ちかけられた、謎めいた“賭け”の行方は――表題の推理作家協会賞受賞作を含む、本格の新鋭が技巧を尽す初の短編集。
内容説明
このこぢんまりとした酒場に入ったのは、偶々のことだ。そこで初対面の男に話しかけられたのも、偶然のなせるわざ。そして、異様な“賭け”を持ちかけられたのも―。あまりにも意外な結末が待ち受ける、一夜の密室劇を描いた表題作ほか、極北の国々を旅する日本人青年が遭遇した二つの美しい謎「北欧二題」など、本格の気鋭が腕を揮ったバラエティ豊かな短編ミステリの饗宴。第六十四回日本推理作家協会賞受賞作を含む、五つの謎物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けい
91
様々な切り口で書かれたミステリー短編5編からなる短編集。表題の作品は「人間の尊厳」から「不確定性原理」まで持ち出し、読み手を煙にまきながら展開される文章が見事。北欧二題は徹底した漢字表記にこだわった見せ方に引き入れられ、『蜜月旅行』では意外な彼女の正体に、気持ち良く読み終えさせてもらいました。日常に潜む謎を題材としたミステリー、洗練された文章とちょっと小難しい言い回し、さっぱりとした結末が良いバランスで配置された良作でした。深水作品次は何を読もうかな。2014/11/15
ジャムうどん@アカウント移動してごはんになります
55
「最後のトリック」(ウルチモ・トルッコ)で知った方です。不思議な題名に惹かれつつも、ずっと読めていなかったものをようやく読了です。全体を通してとても読みやすく、深水さんはいろいろなジャンルに精通しているなぁと感じました。最大のお気に入りである表題作は、哲学的な説明が滔々と述べられていき、最後にすっきりとする不思議な結末が待ち受けていました。ところで、800mという距離について全力で走れる限界のようなことを述べていらっしゃいましたが、私のようなスーパーインドア野郎にとっては100m走るのも辛い・・・(笑)2015/08/04
ダイ@2019.11.2~一時休止
47
短編集。若干読みにくい表現もあり、ミステリぽくないけどイイ。2014/03/26
藤月はな(灯れ松明の火)
47
表題作は最後に驚きました。「北欧二題」はとてもよかったです。柏崎優さんの「叫びと祈り」を読んだ時の空気を思い出しました。「特別警戒態勢」は親の子供に隠れているようで隠れていないいさかいや味方にしようとする思惑と媚が見え見えな言動にウンザリする子供に共感してしまいました(笑)「蜜月旅行」は主人公の視野の狭さにムっとなりながらも花嫁に救われました。あのころからも続くことを確信させるラストはよかったです。2012/08/14
RIN
41
久々に深水さんのウザイくらいの薀蓄ミステリを読みたくて(笑)。受賞した表題作を単行本にするためか、複数の出版社で初出の中短編を1冊にした珍しい形。まどろっこしい、超絶理屈っぽい独特の表現で語られるミステリらしくないミステリはクセになる。相変わらずちょこちょこっと毒を吐いてるところもニヤリ。『北欧二題』がお気に入り。2015/08/03
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