内容説明
アメリカはメイン州・ベックフォード、ディー・デクスター探偵社に一本の電話が入る。探偵二名をある家によこしてほしい、そこで一晩泊まってくれればいいという、簡単だが奇妙な依頼。訝しみながらもその家に向かったスタンリーとケンウッドに、家人は何も説明せず、二人は酒を飲んで寝てしまう。しかし、未明に大きな物音で目覚めた二人は、一面の血の海に切断死体が転がっているのを発見。罠なのか?急ぎディーの家に行って指示を仰ぎ、警察とともに現場に戻ると、何と血の海も死体も跡形もなく消え去っていた―。事件を追う探偵社の面々の前に、日本人探偵・被砥功児が颯爽と登場する。第二十回鮎川哲也賞受賞作。
著者等紹介
安萬純一[アマンジュンイチ]
『ボディ・メッセージ』で、第20回鮎川哲也賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とくけんちょ
22
何か惹きつけられる魅力があって、グイグイ読めました。アメリカが舞台の連続殺人、これに私立探偵事務所の探偵たちが挑む。作中に出てくる謎は丁寧に登場人物によって取り上げられ、まとめてくれるので、読者も安心して謎に取り組める。しかし、登場人物が多いので、そこらの把握には読者の努力が必要。複数の惨殺死体は何を意味するのか、死体消失はなぜ、などなど。謎が謎を呼ぶ連続呼称で楽しませてくれます。主人公が探偵ということで成立している感もあり、警察ならばすぐに解ける謎ではあるかな2018/06/30
こっち
22
初読み作家さん。クラシックミステリを髣髴とさせる設定、内容、雰囲気はお見事!舞台を現代にするにはやっぱり海外じゃないと難しいのでしょうが、カタカナの名前が覚えられず(笑)。日本人探偵もイマイチキャラが確立されておらず、なにせ長いのでちょっとしんどかったです。犯人が明らかになるシーンは「マジか。ってか誰?」状態でした。シリーズ化されているようなので、次作を読んで色々判断しようかと思います。2014/08/25
nyanco
21
翻訳もの…?と思うような仕立て。かつての名作をリスペクトして書かれた感じなのでしょうか。探偵事務所への不思議な依頼、首と片腕を切られた4人の死体、死体消失…謎解きの定番と言った感じ、私はやや苦手な分野なのですが文章はとても読みやすかった。殺されたり行方不明になった者たちの共通点に気づくと、ああ…という感じ。トリックありきで、このトリックを書くために作品を書いた…というタイプは、あまり得意ではないので…。しかし新人作家としてはレベルはかなり高い。今年の鮎川賞、確かに高水準です。2010/11/23
あっちゃん
20
とにかく、懐かしいの一言(笑)昔ながらの海外の探偵事務所に謎の依頼から始まる事件!島田荘司絶賛も納得!ああいうのが好きな人は喜ぶだろうなぁ(^^)クイーンもどきだろうが、探偵が御手洗みたいだろうが私的にはデビュー作にしては傑作だと思う!2015/04/18
つっきー
18
★★+ 「太陽が死んだ夜」と同時に鮎川哲也賞を受賞したとか。舞台がアメリカということもあってか…登場人物が多すぎることもあってか…半分くらい読むのにものすごく苦労させられた。ミステリとして嫌いじゃないんだけど、この手のトリックは特異だから真相が明らかになっても、それほど驚きもせず、どこか冷めた目で見てしまった。「ある男が、もう一人の男と口論になり、たまたま手近にあった拳銃で、相手を撃った。すると撃った方の男も死んでしまった。それは何故か?」のクイズの答え…答えに自信あったのに外れてた。。。2013/04/20
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