内容説明
「安西が落ちた」好敵手であり親友でもあった男の滑落の報せに、草庭は動揺する。認めたくない事実を受け入れようとした瞬間、草庭の頭に浮かんだひとつの疑問―安西はなぜ滑落したのか?彼の登攀技術は完璧だった。山に登る上で必要な資質を、すべて具えた男だった。その安西が、なぜ?三年前のある事故以来、山に背を向けてきた草庭は、安西の死の謎を解き明かすために再び山と向き合うことを決意する。
著者等紹介
大倉崇裕[オオクラタカヒロ]
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒。97年「三人目の幽霊」で第4回創元推理短編賞に佳作入選、翌年には「ツール&ストール」で第20回小説推理新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
109
再読、全く山を知らない楽しめる山岳ミステリー。山での信頼とは強いものですね2022/08/14
初美マリン
103
登山を知らない自分にもわかりやすかった、全幅の信頼を寄せる元パートナーの転落死に疑問をもち、調べる主人公に回りの援助で真実に辿り着く。あの信頼があってこそできたこと。そして山へ戻っていく。ぎこちないかんじですが、楽しみました2018/11/30
takaC
49
プロローグはカムチャランガなのかな。それはさておき、全体的にフィクション臭が濃すぎていくらか興ざめだった。リアル山屋が読んだらもっと扱下ろすのではなかろうか。ま、十分に楽しんだので良いけど。2013/04/02
紅はこべ
43
本作では大倉さんの特徴の軽妙なユーモア、ユニークなキャラ造形は影を潜めている。山岳ミステリは殆ど読んでいないけど、山が重要な意味を持つミステリとしては、『マークスの山』『ホワイトアウト』『遭難者』『クライマーズ・ハイ』など皆真面目だね。本作に関して言えば、主人公が追うことになるある運動の裏側にどんな大きな陰謀が隠されているのかと期待したら、ちょっと肩透かしを食らった。小説としては色気が不足でした。山男を主人公とした場合、やむを得ないかな。2010/11/16
達ちゃん
37
気になっていた大倉さんの山岳ミステリー、期待通り面白かったです。他にも何冊か出ているので読んでみようと思います。2020/04/12