出版社内容情報
鴆(ちん)とは、猛毒を持つ伝説の巨鳥。鴆が飛ぶと国が滅ぶと伝えられる。その年、民主化運動が頂点に達した揺碧国(ようびこく)に鴆は忽然と現れ、運動の鎮圧に出動した軍人たちともども広場の人民を殺戮した。そして10年、体制は入れかわり、国は急激な発展をとげたが。創元SF短編賞優秀賞受賞作「飲鴆止渇」をはじめ、遠い伝説の時代から遥か未来の宇宙まで自在に物語った、実力派による全6編。
【目次】
内容説明
天から地上へ堕ちてきた“彼”は、麒麟の姿を得て漢の皇帝・武帝の相談相手となる―「麒麟の一生」。民主化運動が頂点に達したその国の広場の大集会を、猛毒を持つ伝説の巨鳥が襲った―「飲鴆止渇」(創元SF短編賞優秀賞受賞作)。耳なし芳一の舞台となった神社の駐車場に放置された自動運転車が体験する不思議な日々―「ほいち」など、伝説の生物に材をとり、遠い神話の時代から遙か未来の宇宙まで、期待の実力派が自在に物語るSF幻想、全六編。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
本の蟲
15
最近名前を聞くSF作家第二短編集。初単行本『ギークに銃はいらない』の細かい内容はおぼろげだが、今作同様楽しめた記憶はある。表題作はAIが語り部のファーストコンタクトSF。民主化運動とその後のディストピアを描いた『飲鴆止渇』。アップデートされた「耳なし芳一」『ほいち』ほか3偏。表題作以外は古代中国日本の、古の幻獣についての言及があり、「山怪経」とか好きな人には刺さる。お気に入りは『麒麟の一生』。ゲンロンSF講座指定テーマでの一作だが、「改元」と言われてこの発想が出てくるのが凄い2026/02/25
maimai
11
久しぶりに、ど真ん中のSFらしいSFを読んだ。(SFに「らしい」という評言をつけて褒めるのは、よく考えると矛盾を含んでいるようにも思えるが、それはともかく)久しぶりにものすごく面白かった。「海闊天空」などは、オールタイムベストレベル。「ほいち」「では、人類ごきげんよう」のギャグも知的でスマート。しかしこの歳になると、この「SFらしいSF」というのは読むのに時間がかかるのだなぁ。語られる世界の成り行きやら全貌やらを知りたくて先へ先へと気は焦るのだけれど。2026/02/25
おだまん
11
中国の神話・伝説の生物?からインスパイアした短編集。古典的な麒麟からAI独壇場の表題作まで独特な世界観満載。元ネタをもっと知りたくなりました。2026/01/17
ゆうき
9
綴られた世界観や背景に想像力がなかなか追いつけず、読破に時間かかったけど…解説も参考になんとか読みきりました💦作者さんの才能が末恐ろしい…。 伝説上の生物(?)×主に中国の歴史背景×デジタル技術×近未来、遠未来風景といったところか。カタカナ用語の漢字表記は興味深いけど、読みながら「たぶんこんなの?こういうこと?」と推察の連続。 麒麟の一生、飲鴆止渇、ほいち、がまだわかりやすかったかな。 言葉遊びに巻き込まれている気もしつつ、途中で「あっ!」と意味がわかる、つながる感じとか、円城塔みもあり。 2026/03/30
moon-shot
6
不思議な作風。先端技術を酒の肴にしてパンクっぽく仕上げてくる。上野公園で夜桜を眺めながらくだを巻いてる麒麟とか、MEMSで作る鴆毒とか、AI機能を持つ自動車が耳なし芳一よろしくサイドミラーをむしりとられる話とか、愉快なアイデアが満載。でも読み進めると、奔放で重量級の展開になってきて、中国をモチーフにした話が多いのに、むしろアメリカンな肌触りを感じさせます。日本人には珍しい。(しかも斧田さんは東大情報工学系出身のバリバリのリケジョなのだ)。個人的には、ホラーな表題作の「では人類、ごきげんよう」が一押しです。2026/03/26
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