出版社内容情報
鴆(ちん)とは、猛毒を持つ伝説の巨鳥。鴆が飛ぶと国が滅ぶと伝えられる。その年、民主化運動が頂点に達した揺碧国(ようびこく)に鴆は忽然と現れ、運動の鎮圧に出動した軍人たちともども広場の人民を殺戮した。そして10年、体制は入れかわり、国は急激な発展をとげたが。創元SF短編賞優秀賞受賞作「飲鴆止渇」をはじめ、遠い伝説の時代から遥か未来の宇宙まで自在に物語った、実力派による全6編。
【目次】
内容説明
天から地上へ堕ちてきた“彼”は、麒麟の姿を得て漢の皇帝・武帝の相談相手となる―「麒麟の一生」。民主化運動が頂点に達したその国の広場の大集会を、猛毒を持つ伝説の巨鳥が襲った―「飲鴆止渇」(創元SF短編賞優秀賞受賞作)。耳なし芳一の舞台となった神社の駐車場に放置された自動運転車が体験する不思議な日々―「ほいち」など、伝説の生物に材をとり、遠い神話の時代から遙か未来の宇宙まで、期待の実力派が自在に物語るSF幻想、全六編。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
本の蟲
14
最近名前を聞くSF作家第二短編集。初単行本『ギークに銃はいらない』の細かい内容はおぼろげだが、今作同様楽しめた記憶はある。表題作はAIが語り部のファーストコンタクトSF。民主化運動とその後のディストピアを描いた『飲鴆止渇』。アップデートされた「耳なし芳一」『ほいち』ほか3偏。表題作以外は古代中国日本の、古の幻獣についての言及があり、「山怪経」とか好きな人には刺さる。お気に入りは『麒麟の一生』。ゲンロンSF講座指定テーマでの一作だが、「改元」と言われてこの発想が出てくるのが凄い2026/02/25
maimai
10
久しぶりに、ど真ん中のSFらしいSFを読んだ。(SFに「らしい」という評言をつけて褒めるのは、よく考えると矛盾を含んでいるようにも思えるが、それはともかく)久しぶりにものすごく面白かった。「海闊天空」などは、オールタイムベストレベル。「ほいち」「では、人類ごきげんよう」のギャグも知的でスマート。しかしこの歳になると、この「SFらしいSF」というのは読むのに時間がかかるのだなぁ。語られる世界の成り行きやら全貌やらを知りたくて先へ先へと気は焦るのだけれど。2026/02/25
おだまん
10
中国の神話・伝説の生物?からインスパイアした短編集。古典的な麒麟からAI独壇場の表題作まで独特な世界観満載。元ネタをもっと知りたくなりました。2026/01/17
vivahorn
5
本書は紙魚の手帖やNOVAで発表された作品を集めた短編集第2弾とのこと。斧田小夜の経歴を見たら、その超高学歴と職歴にビックリ。6つの作品の中で「飲鴆止渇」が一番気に入った。戦争・暴動が絡む作品はとてもワクワクするが、希望と破滅が交差する結果になる作品が多く、読後感が大幅に異なるケースが起こりやすい。輸血と称した「MEMS」のアイディアには脱帽。この都合の良い機能をガンガンぶっ込めるのがSFの醍醐味と言える。この発想がきっかけとなって、世界の医療が飛躍的に向上する可能性も十分に考えられる。2026/02/01
きゅうくつ
4
これはすごい。深くて長い余韻が残る。読み終えて一週間、その間読んだどの本も面白くて没入したけれど、ふとした時に未だこの本の余韻に浸ってしまう。一読しただけでは理解が及ばなかった部分もある(それがまた魅力的なのかも?)ので、ぜひまた読み返したい。2026/02/17




