創元日本SF叢書
風牙

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  • サイズ B6判/ページ数 358p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488018290
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

人の記憶を取り出して他人にも理解できるように翻訳する技術が実用化された時代。その技術は特別な力を持ったインタープリタと呼ばれる人々によって実現されていた。珊瑚は優秀な若手インタープリタとして将来を嘱望され、さまざまな背景を持つ依頼人の記憶翻訳を手がけている。しかしその仕事は彼女自身のなかにある埋められない欠落と向き合うことでもあった――第5回創元SF短編賞を受賞した表題作にはじまる連作短編集。

門田充宏[モンデンミツヒロ]
著・文・その他

内容説明

人間は忘れる生き物だ。だからこそ、残っている記憶には意味がある。記憶翻訳者とは、依頼人の心から抽出した記憶データに潜行し、他者に理解可能な映像として再構築する技能者である。珊瑚はトップ・インタープリタとして期待され、さまざまな背景を持つ依頼人の記憶翻訳を手がけていた。しかし彼女にとって人の記憶と深く関わることは、自分自身のなかにある埋められない欠落と向き合うことでもあった―第五回創元SF短編賞を受賞した表題作にはじまる連作短編集。

著者等紹介

門田充宏[モンデンミツヒロ]
1967年北海道根室市生まれ。一橋大学社会学部卒、2018年現在会社員。2014年、「風牙」で第5回創元SF短編賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

タカギ

28
読みやすくてとても良かった。SFは敷居が高いという心配は不要です。SF音痴の自分も平気でした。4つの短編からなる連作短編集。主人公は「記憶翻訳者」の珊瑚ってことになると思うけれど、彼女が色々な人たちの記憶の中に潜行する話なので、潜行されるほうの側にも深く関わり、さらに自分自身にも向き合うことになる。うーん、面白い。珊瑚の関西弁は可愛いし、他の登場人物たちも個性的で良い。装画も読後だとSFっぽく見える不思議。2019/01/06

miroku

19
過剰共感能力であってテレパシーではない部分がオリジナル。表題作が秀逸。2020/02/17

もち

15
「忘れずに、先に進んでくれ。俺の行けない未来に」◆人の記憶に潜行し、誰にでも体験可能なデータとして再構成する記憶翻訳者・珊瑚。三人を病院送りにした記憶へ飛び込んだ先で、珊瑚は大切な人の愛犬の姿を見る。次の刹那、途絶の牙が首筋を――(表題作)■シリーズ第1作。関西弁を操る凄腕翻訳者の女性を中心とした連作短編。誰かにとって大切な、情感豊かな光景は、悲しい秘密のスタート地点。SFギミックを活かしながらも理屈は抑え、脆く愛しい人間の真理を描き切る。2019/11/13

羊山羊

15
人の記憶に潜るプロ、記憶翻訳者の珊瑚が出会う、深い業を抱えて生き続ける人との関わりを書くSFサスペンス短編集。コッテコテの大阪弁で話す明るい女性主人公というドストライクなキャラが話の重さを上手くスポイルしてて巧み。好きな章は第2章だろうか。SFの世界観を全開で表現しつつ記憶翻訳者が暴走するとどうなるかを書きつつその業も丁寧に表現した良パートだと思う。由鶴の末路が哀しい。一風変わっているが心にズドンと響く儚いSF。面白かった。超オススメ。2019/07/10

りちゃ

12
過剰共感能力者。自我に影響してしまうほど、周囲の人間に共感してしまう者たち。珊瑚もそのひとり。そして、記憶翻訳者である。序盤は、正直この世界観に乗り切れない。が、だんだんとはまってくる。ただ「みなとも」なる団体は、私的に残念。SF色が損なわれるように感じてしまった。記憶って、何なんだろう。2019/10/13

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