創元日本SF叢書
半分世界

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  • サイズ B6判/ページ数 307p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488018252
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

増殖した会社員男性、ある朝とつぜん半分になっていた家とその観察に没頭する人々……第7回創元SF短編賞受賞の新人による、前代未聞のスラップスティックSF!

内容説明

「二〇××年○月△日一九時頃、夏の宵闇垂れ込めるS市K町四丁目の通りで多数の住民が暗色の奔流を目撃した」三年前、会社から帰宅途中の吉田大輔氏(三十代、妻と男児ひとり)は、電車を降りて自宅に向かうあいだで一瞬にして一九三二九人となった―第七回創元SF短編賞を受賞した「吉田同名」をはじめ、ある日突然、縦に半分になった家で、平然と暮らし続ける一家とその観察に没頭する人々を描く表題作、全住民が白と黒のチームに分かれ、三〇〇年もの間ゲームを続ける奇妙な町を舞台にした「白黒ダービー小史」など全四編。突飛なアイデアと語りの魔術が描き出す、まったく新しい小説世界。

著者等紹介

石川宗生[イシカワムネオ]
1984年千葉県生まれ。米大学卒業後、イベント営業、世界一周旅行、スペイン語留学などを経てフリーの翻訳家として活躍中。「吉田同名」で第7回創元SF短編賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

103
この本を読んでいる時、正直、世界観に入り込めなかった。しかし、読後、じわじわとこの世界観が思考だけでなく、心も侵食していく感覚に襲われました。「吉田同名」は最初は興味津々なのに次第に忌避し、時を経る内にその存在を忘れてしまう生活の薄情さを内包する周囲は、私たちの所属する世間そのものだ。同人物でも微妙に異なる差異や「自分」でありながら「他者」である自分と交わることで完壁な自己完結と他との断絶を含む繋がりという矛盾を確立したという場面に身震い。表題作の観察者とその対象の反転は安部公房の『箱男』を思い出したり。2018/04/04

mii22.

62
吉田大輔という人物が突如19329人になってしまう「吉田同名」、道路に面した側半分が消えてしまった家の話「半分世界」の2篇はどこかレトロで懐かしさを感じる、まるで舞台劇を観ているような面白さだった。すごいのは「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」バスの乗り継ぎで降り立った所は、砂塵舞い強烈な日差しが目に突き刺す未舗装の十字路だった。ここからストーリーはトンでもない拡がりをみせ、恐ろしくも可笑しな世界を創りだし、どんどん膨らんでいく。氾濫する想像力についていくのがやっとだったがとても面白かった。2018/05/07

keroppi

59
普通のサラリーマンが19329人になったり、半分になった家から家族が丸見えだったり、まるで筒井康隆さんが書きそうな設定なのだが、筒井さんだとスラップスティックになるところが、この作家だとそうはならない。とても冷静にその状況が描かれ、大袈裟なことは何も起きないのだ。とても不思議な状況が、リアルに感じてしまう。何とも不思議な作品たち。2018/07/18

EnJoeToh

46
残念ながら、天才です。2018/02/14

ヘラジカ

46
奇抜なアイディアから思考実験的な広がりを見せる『吉田同名』『半分世界』、ユーモラスな創作歴史を軽妙なリズムとセンスある言葉選びで語る『白黒ダービー小史』、この3作もなかなか良いけれどやっぱり凄いのは最後の『バス停夜想曲』。SFというよりも不条理劇のような趣があるこの作品は、独特な世界観だけではなく卓越したストーリーテリングの力も持っていることを証明している。恐れ入った。読む前は「日本発、世界文学」なんて少し吹かしてるんじゃないかと思ったけれど、この作品なら間違いなく言語や文化を超えて受け入れられるだろう。2018/01/22

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