出版社内容情報
学園祭中の大騒動、結末不明の脚本の謎、温泉と泥棒と死体……T大学文芸サークル第3部ザ・フールの愉快な面々が繰り広げる四つの謎解き。コミカル・ミステリの新星登場!
内容説明
生まれついての聴き屋体質の大学生・柏木君が遭遇した四つの難事件。芸術学部祭の最中に作動したスプリンクラーと黒焦げ死体の謎を軽快かつロジカルに描いた表題作をはじめ、結末が欠けた戯曲の謎の解明を演劇部の主演女優から柏木君が強要される「からくりツィスカの余命」、模型部唯一の女子部員渾身の大作を破壊した犯人を不特定多数から絞り込んでゆく「濡れ衣トワイライト」、そして深夜の温泉旅館で二人組の泥棒とともに“いったいここで何が起こったか”を推理する力作書き下ろし「泥棒たちの挽歌」の四編を収録。聴き屋の柏木君ほか、誰よりもネガティブな性格の先輩、推理マニアの美男子学生作家など、文芸サークル部第三部“ザ・フール”の愉快な面々が謎解きを繰り広げる快作。
著者等紹介
市井豊[イチイユタカ]
1983年神奈川県生まれ。日本大学芸術学部卒業。2008年、短編「聴き屋の芸術学部祭」で第5回ミステリーズ!新人賞に佳作入選する。コミカルなキャラクター造形と軽快な会話、そしてロジカルな作風が魅力の注目の新鋭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
128
日常系ミステリで設定が難しいのは、いかにして「事件」にかかわっていけるか、ということ。「聴き屋」という、自然体のカウンセラー役の設定がうまい。しかし本書は「人が死ぬミステリ」なので、日常とは言えない。私的ベスト「からくりツィスカの余命」は、米澤穂信の「愚者のエンドロール」のように、作中作の結末を推理するのだが、パターンが違うので安心。シリーズ続編も読みたい。2016/05/16
ダイ@2019.11.2~一時休止
78
聴き屋の設定が面白く読みやすかった。2014/03/14
ヒロユキ
77
アンソロジー『放課後探偵団』で読んだ聴き屋シリーズの単行本。殺人あり日常の謎ありのバラエティに富んだ短編集。背後霊の如く後ろにまとわりつく先輩がウザカワイイ。そして川瀬は若干だがシンプルにウザい(笑)これだけの個性派集団だともっと「ザ・フール」の川瀬や先輩以外がでばってくる話も読みたいな。2012/12/13
藤月はな(灯れ松明の火)
54
自分から突き放して話を聞けるという美徳を持った柏木君の日常の謎への推理(但し、黒焦げ死体など有り)表題作は美術部に居た者としては苦いです。そこまですることがあったのかということが悲愴でした。その分、ザ・フールの悪戯の無軌道さに爆笑(脚本家君、ごめん 笑)エドワード・ゴーリーを卒論で選ぶ先輩、いい趣味です^^入学式直後に文学研究会の皆さんに開口一番にBL初体験を尋ねた私としては梅ちゃんと「孤島の鬼」談義がしてみたいです(笑)2012/06/28
ぽぽ♪
48
昔から話を聴くのが得意?な、聴き屋こと柏木が殺人事件から日常の謎まで解いていく。最初の話は、え?これで終わり?って拍子抜けでしたが、読み進めていくうちに柏木のキャラに愛着がわきました。脇の個性的メンバーも面白くて、次のシリーズ又読んでみようかと思います。2015/04/05