内容説明
音村夏貴は時々過呼吸の発作に見舞われる中学生。親友正哉の家が火事になり、彼が焼死した。両親を助けようと夏貴の目の前で燃えさかる火のなかに飛び込んでいったのだ。不審火だった。嘆き悲しむ夏貴の耳に親友の声が聞こえてきた。彼の遺した携帯から。そして画面には死んだはずの彼の顔が…。不審火の真相を調べてほしいと彼は言う。家のなかに火の気はなかったし、消火活動も終盤に近づいて、なお激しく燃え上がった不可解な火事だった。放火なのか?なぜ正哉と彼の両親は死ななければならなかったのか?携帯から語りかける友人との二人三脚で、夏貴が探り出した驚愕の真相は…?畠中恵、初の現代小説。ファンタスティック・ミステリ。
著者等紹介
畠中恵[ハタケナカメグミ]
1959年高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒業後、漫画家のアシスタント、書店員などを経て漫画家としてデビュー。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。つづいて『ぬしさまへ』も発表し、時代物作家として多くのファンを獲得している
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
121
人類、科学は本当に進化しているのだろうか?その歪みを糺すものと一緒に育たなければ意味はないことを改めて感じた2020/05/08
Yuna Ioki☆
50
1007-210-52 畠中恵氏の数少ない現代小説。こんな感じのミステリーも書かれるんですね。放火殺人がまったく別の方向へと導かれていくんですね。。。権力欲と倫理の対決だったのかもしれない。ラストは主人公が自立していこうとする姿勢が見えたのが救いかも。2015/05/31
えみりん☆
17
しゃばけシリーズとは異なり、現代医療ミステリーと言った感じ。医師も人間でいろんなことを考えるもので、医療に携わっていると、時として正常な判断が出来なくなるのかと思えます。東さんが思った以上にしっかりしたおじさんだったことに驚き、こんな人が義父になれば夏貴も幸せになれるかもと思いました。重たい話の中にもそれだけは救いです。2014/08/30
朱音
17
うじうじした主人公が重い母、気に入らない義父予定者とのかかわりで余計にうじうじしていてちょっと歯がゆい。でもそこらへんがかえってリアルか。親友とのコンタクトが途中でぷつんといった感じで消化不良。異常な人ばかり出すというのはいかがなものか、とも思うしなぁ。テーマは独創的で重いテーマなのでもっと濃厚に書き込むタイプの作家さんでこういうの読みたいかも。2009/12/26
藤月はな(灯れ松明の火)
15
(珍しく、辛口コメントです)カバーと違って暗いラストでちょっとビックリしました。最初、主人公に対する母親の干渉の異常性に寒気がし、次に人間のエゴにおぞましさすら感じました。また、友人に依存する主人公にもいらいらしてしまいました。タイトルの意味を知ったときはぞっとしました。でも養父さんの性格が救いになっていると思います。2009/11/17