出版社内容情報
悩める人々に文学作品を処方する読書セラピーを始めたヴィンチェ。彼のスタジオの階下の女性が失踪、状況証拠から夫が疑われる。読書家の彼女が読んでいた本のリストからヴィンチェは真相を探り出す。失踪女性の物語は、「失踪」「別の人生」「入れ替わり」が大きなテーマだ。人々の様々な悩みと彼の処方する作品の数々は味わい深い。シェルバネンコ賞受賞のビブリオ・ミステリ!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ27
76
装丁の男性は細身イケメン・・しかし、作中何カ所かで「ド・パルデュー似」と。推した流れと全く違う筋が意表をついた。セラピースタジオを開いたコルソの最初の客 パロディー夫人(名前でくすり)二人のやり取りはそこいらの会話と大きく異なるハイソレベルの教養全開。その後、彼女が失踪・・2週間余りの時間は種々の顧客との濃い事例紹介が綴られる。結果 川に白い裸体で死体となって発見された夫人。サスペンスではなく、途中経過がすっ飛んで 本筋は読書セラピーなるお仕事小説みたい。筆者はローマ大学司書のスタッシ氏。さすが溢れる教養2022/11/02
ネギっ子gen
54
ビブリオ・ミステリ。読書を活用した、人生再生カウンセリング。最初の相談者は、髪型に苦しみ「居場所がない」感覚と。読書だけが救いの若い女性は訴える。「どんな髪型にしても髪が断固として反抗し、ある日は縮れ毛、ある日はストレート、きまって自分の願いと正反対になるのがどうしても説明がつかない。髪のせいで、どれだけ母とけんかしたことか」と。治療本は、ヘミングウェイ『移動祝祭日』。その反応は、「わたしになにを薦めるのよ! 自殺者の遺作ですって」と――。わたしなら、『かみはこんなに くちゃくちゃだけど』辺りかなぁー。⇒2022/11/25
星落秋風五丈原
34
読書セラピストと言われても結局読書って孤独な作業だからなぁ。アドバイザーみたいな感じ?2022/03/09
kameyomi
27
読書セラピスト。素敵な響きだ。 生活のために読書セラピーを始めたばかりの主人公ヴィンチェが、階下に住んでいた婦人の失踪事件を、彼女の残した読書の記録から解決しようとする。 この物語を充分に楽しむためには、せめて著者の半分位の、それでも膨大な読書量が必要かと思う。 それでも、数々の悩みに対して真面目に文学で立ち向かおうとしながらも、中々上手くいかないヴィンチェのセラピーを受けてみたい気持ちになった。2022/09/25
M H
26
読書セラピーってこんなにペラペラしゃべってはい処方って無神経なの?話は外れるが、選書サービスを利用したときに、書店員さんがこちらで作成したカルテに添いつつ興味を広げるような本を送ってくれて嬉しかった思い出がある。主人公のヴィンチェからはそんなプロ意識が感じられないし、自身のセラピーに依頼人を無意識に利用しているのでは?どうにも後味悪し。失踪した女性の顛末も微妙。選書のラインナップ自体は興味深いし、期待していたんだけど。2022/07/31