海外文学セレクション<br> 雲

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海外文学セレクション

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  • サイズ 46判/ページ数 464p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488016746
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

旅先で見つけた一冊の書物。そこには19世紀にスコットランドの村で起きた悲惨な出来事が書かれていた。かつて彼は職を探して、その村を訪れたが、そこで出会った女性との愛とその後の彼女の裏切りは、彼に重くのしかかっていた。書物を読み、自らの魂の奥底に辿り着き、自らの亡霊にめぐり会う。ひとは他者にとって、自分自身にとって、いかに謎に満ちた存在であるかを解き明かす、幻想小説とミステリとゴシック小説の魅力を併せ持つ、著者渾身の一冊。

内容説明

出張先のメキシコで、突然の雨を逃れて入った古書店。そこで見つけた一冊の書物には19世紀に、スコットランドのある町で起きた黒曜石雲という謎の雲にまつわる奇怪な出来事が書かれていた。驚いたことに、かつて、若かった私はその町を訪れたことがあり、そこで出会ったある女性との愛と、その後の彼女の裏切りが、重く苦しい記憶となっていたのだった。書物を読み、自らの魂の奥底に辿り着き、自らの亡霊にめぐり会う。ひとは他者にとって、自分自身にとって、いかに謎に満ちた存在であることか…。幻想小説、ミステリ、そしてゴシック小説の魅力を併せ持つ、マコーマック・ワールドの集大成とも言うべき一冊。

著者等紹介

マコーマック,エリック[マコーマック,エリック] [McCormack,Eric]
1940年、スコットランド生まれ。グラスゴー大学卒業。1966年、カナダに移住。マニトバ大学、ウォータールー大学で17世紀および現代英文学の教鞭を執った

柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年、東京都大田区生まれ。米文学者、翻訳家。1992年『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、2005年『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、2010年、トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』で日本翻訳文化賞受賞。2017年、早稲田大学坪内逍遙大賞受賞。文芸誌『MONKEY』(2013年創刊)責任編集(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南雲吾朗

91
とにかく、面白かった。一人の男性の数奇な人生。冒険、ミステリーちょっとホラー…とにかく、あらゆる要素が詰まっている。寝食を忘れて読みふけった。個人的にはデュポンの実験施設の話が好きである。「人類の良心は後付け」的な考え方が面白いし、なんとなく納得できる感じがする。読書している時間が凄く幸せに感じる本であった。2020/02/14

(C17H26O4)

90
読後何日も奇妙な夢の中にいるようだった。出張先の古書店で手にした一冊の本が、主人公を苦い愛の思い出の地へと誘う。本に描かれている黒曜石雲という不気味な雲の謎を解こうとすることが彼を心の内側深いところへ導く。旅で出会う人たちは皆が皆、怪しく魅力的なのだが、目を抉る鳥とか、穴にのまれた町だとか、魚を舐める儀式とかのエピソードも不穏で面白く、かなり引き込まれた。過去を辿っていたはずが未来を手繰り寄せ、しかし新たな過去が主人公を悪夢のように追いかけてくる。呪縛から逃れられないエンドレスの怖さみたいなものもある。2021/03/14

nuit@積読消化中

90
エリック・マコーマックの長編は初めてでしたが、とにかく個人的にはツボな作家さんであります。過去にいくつか短編を読んだ時の衝撃は今でも忘れておりません。いつかガッツリ読もうと思いつつ、良い意味で大事に積読している作家さんでもあります。しかし、本書の素晴らしいこと!メキシコで古書を見つけるところから始まり、スコットランド、アフリカ、南米、南洋、カナダと放浪を重ねる主人公。行く先々での話がまた面白い。そしてラストに古書の秘密が明かされ、そこにはマコーマックワールドが繰り広げられており、本当に大満足です。2020/02/25

アキ

80
出張先のメキシコでたまたま雨宿りした古本屋で出会った本「黒曜石雲」がきっかけで、スコットランドのダンケアンで若い頃熱愛し、別れた彼女を懐かしく思い出す。彼女とは愛し合っていて結婚を申し込んだが、他の男と結婚した。その後、船乗りとしてアフリカへ行き、そこで出会った実業家に拾われ、カナダでその娘と結婚する。順調に仕事もこなし、息子も成人し、父親代わりの実業家とその娘である妻の死をも経験する。スコットランド文化センターに鑑定を依頼した本の意外な来歴を知り、数十年経ちもう廃坑となったダンケアンを再訪すると、既に⇒2020/05/10

kazi

75
小説の中に込められた要素が多すぎて感想書き辛いです。訳者のあとがきにあった、他者の不透明性・世界の不可知性という言葉が、この小説の手触りをうまく表していると思った。ノスタルジックな回想の中に、猟奇的・怪奇的なビジョンが入り混じり独特の味わいがある。時に美しく、時に残酷な、時に奇妙な、数々のエピソードを読むとこの世界の不気味な底知れなさや不可解さ、あくせく生きて人知れず死んでいく人間存在の奇妙さなどが感じられ何とも言えない気持ちになった。それが一般的な読み方かはわからんが、とにかく私はそんな風に感じました。2020/08/29

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