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海外文学セレクション
琥珀捕り

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  • サイズ B6判/ページ数 346p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488016388
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

ローマの詩人オウィディウスが描いたギリシア・ローマ神話世界の奇譚『変身物語』、ケルト装飾写本の永久機関めいた文様の迷宮、中世キリスト教聖人伝、アイルランドの民話、フェルメールの絵の読解とその贋作者の運命、顕微鏡や望遠鏡などの光学器械と17世紀オランダの黄金時代をめぐるさまざまの蘊蓄、あるいは普遍言語や遠隔伝達、潜水艦や不眠症をめぐる歴代の奇人たちの夢想と現実―。数々のエピソードを語り直し、少しずらしてはぎあわせていく、ストーリーのサンプリング。伝統的なほら話の手法が生きる、あまりにもモダンな物語。

著者等紹介

カーソン,キアラン[カーソン,キアラン][Carson,Ciaran]
1948年、北アイルランド、ベルファスト生まれの詩人・作家。ウィスキーを愛し、伝統音楽家としてフルートを演奏し、英語とゲール語の伝統歌謡も達者である。ノーベル文学賞を受けたシェイマス・ヒーニーに続く世代を代表する詩人として、ポール・マルドゥーン、メーヴ・マガキアンと並び称される存在である。エリック・グレゴリー賞、アイリッシュ・タイムズ文学賞、T.S.エリオット賞などの受賞も多い。現在も詩集の発表はもとより、2002年にはダンテ『神曲』の翻訳を上梓するなど、活発な活動を続けている

栩木伸明[トチギノブアキ]
1958年、東京に生まれる。1987年、上智大学大学院文学研究科英文学専攻博士後期課程単位取得退学。2002年より早稲田大学教授。専攻はW.B.イェイツ以降の現代アイルランド文学・文化
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

119
文学界のカモノハシ、だそう。 お話し、が入れ子状に続く。おとぎ話、歴史上の奇妙な話、ギリシャ神話、どこまでホラかホントか。 大体アイルランドやオランダが舞台。 千夜一夜物語か万華鏡か。 博学に驚く。センスは良い。アイルランドの作家2024/09/08

藤月はな(灯れ松明の火)

69
冬の長い夜にゆったりと読みたい本でした。冒険者ジャックが語るはアルファベット順のモチーフをモザイクにして語られる物語だ。それらは時代軸を超越する上、ギリシャ神話、御伽噺、蘊蓄と多岐に渡り、饒舌さ故に主題から離れて物語れるなど、脱線もある。各章の最後に次の章のモチーフがそっと忍ばされている。一方で脱線しても主題である「琥珀」、「琥珀の広間」には必ず、還ってくる構成の注意深さも伺える。更に終盤には心憎い演出もあるので最後まで楽しみました。特に好きなのは実在したフェルメールの贋作者、ファン・メーヘレン氏の物語。2022/08/30

syaori

50
AからZまで、それぞれの頭文字を持つ章からなる言葉の迷宮で「ひとつの長い物語」。幼いころ父親にお話をねだった思い出から始まる物語は、アイルランドやオランダの空を漂いながら、ギリシア神話、フェルメール、エスペラントの緑の星、望遠鏡、顕微鏡、潜水艦と、つながっているようでとりとめのない連想のように続いていき、語り手の記憶のなかに迷い込んだよう。題名のとおり随所に琥珀のエピソードが散りばめられていますが、この物語自体が、父親のお話が時を経て変成し、記憶の海から水揚げされた宝石、琥珀なのに違いないと思いました。2017/02/24

星落秋風五丈原

38
時代と場所を越えて語り継がれる物語。ギリシア神話の件が特に好き。2018/05/07

kariya

27
金色に輝く琥珀を日に透かして映るのは、神話に民話にお伽噺にほら話。AからZまでの単語を冠した26章が綴る、光を愛した画家フェルメールとかの有名な贋作者、姿を変える神に愛された娘や青年、潜水艦に生涯を捧げた男、そして何より輝く琥珀の物語。前の話の主題を少しずらして取り入れ、次の話もまたというように、語り口も内容も様々な物語が連なり最後に描く形と、真偽入り混じる広範な薀蓄を追うのは、どんな冒険物語に劣らず面白い。作中語られる回転のぞき絵にも似ているが、きっとこの遠眼鏡は目を離した隙に全く別の絵が映る。2009/11/16

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