創元海外SF叢書<br> 人生の真実

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創元海外SF叢書
人生の真実

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  • サイズ B6判/ページ数 359p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488014605
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

この子はあたしたちが面倒を見る。よそにはやらないよ――千里眼を持つ女家長マーサの決断により、赤ん坊はヴァイン家の八人の女たちに育てられることになった。フランクと名づけられた男の子は、戦争の残した傷跡から立ち上がろうとする街で、一風変わった一族に囲まれて大きくなってゆく。生と死のさまざまなかたちを見つめる家族の姿を、英国幻想小説界の巨匠が鮮やかに描き上げた、世界幻想文学大賞受賞作。

グレアム・ジョイス[グレアム・ジョイス]

市田泉[イチダイヅミ]

内容説明

この子はあたしたちみんなで育てる。よそにはやらないよ―千里眼を持つ女家長マーサの決断により、赤ん坊はヴァイン家の8人の女たちに育てられることになった。フランクと名づけられた男の子は、大戦の残した傷跡から立ち上がろうとする町で、風変わりな一族に囲まれて大きくなってゆく。彼だけの秘密の話し相手、“ガラスの中の男”とも一緒に…。現代英国幻想小説界の巨匠が鮮やかに描き上げた、生と死のさまざまなかたちを見つめる家族の物語。世界幻想文学大賞受賞作。

著者等紹介

ジョイス,グレアム[ジョイス,グレアム] [Joyce,Graham]
1954年、イギリスに生まれる。1991年に長編Dreamsideでデビューし、生涯に20冊近い長編と、4冊の短編集を上梓した。英国幻想文学大賞長編部門を6回受賞し、『人生の真実』では2003年度世界幻想文学大賞を受賞。大西洋の両岸で高い評価を受け、現代英国幻想小説界を代表する作家として活躍した。2014年、59歳で没

市田泉[イチダイズミ]
1966年生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

72
英国マジックリアリズムなのか性関係多し。赤ん坊フランクは女系家族のもと、育ってきた。ガラス瓶に入った男と共に。千里眼、占い師、鬱病、女性活動家など、多彩な女性陣に囲まれるフランクの日々は緩やかに、変化に対する困惑と受容を経て過ぎていく。夢見がちなぼんぼん、ウィリアムがキャシーの結婚をマーサに申し込む時の遣り取りに爆笑。そしてオリーヴ夫婦生活に最後に無関心で終わってしまった自分の夫婦生活を重ねて心を痛めるマーサ、キャシーの心を壊した爆撃の日の飛行機の行方とドイツ人老夫婦の訪れがリンクした時が本当に切ない。2016/11/10

けい

58
第二次世界大戦前後の英国を舞台に、千里眼を持つ老女『マーサ』を中心とした女系家族ヴァイン家の人々を描く物語。見えてしまう、精神の不安定な末娘キャシーを筆頭に、息子のフランク、姉達とそのパートナー達、極めて個性的な登場人物達が魅力的。空襲の場面と現在の日常、章を切り替えながら、緩急自在の文章は見事。読み終えた後にふんわりと心におりてくる温かさも、読んでよかったと思わせてくれます。2017/02/05

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

47
変わりものの末娘キャシーの生んだ息子フランクは、肝っ玉母さんマーサと七人の娘たちに育てられることになる。マーサとキャシー、フランクは不思議な力があり死者を見ることが出来る。ドイツ軍の空爆にあい壊滅状態の町で、親子と姉妹、生者と死者、男と女、夫と妻、老人と子供、共に助け合いながら生きていく人々。民衆のために裸で馬に乗り町を駆け抜けたレディ・ゴダイヴァのように、皆、誰かのために自分が出来ることをする。不思議でいて、あたたかい余韻の残る物語。2016/12/26

りつこ

43
SFでも幻想文学でもなく家族の物語に魔法の要素がちりばめられている。魔法的な出来事よりも、もっと強烈なのがヴァイン家の人たち。千里眼の能力を持ちながらただひたすらに家族の幸せを願う肝っ玉母さんマーサを中心に、個性的で主張が激しい7人の娘たちとその配偶者。戦争で破壊された街が再建築され生まれ変わるように、さまざまな出来事で傷ついた心や人間関係も修復していく。死さえも味方につけて生きる人たち。年越しで読んだ本がこれで「当たり」な気分。2017/01/06

わたなべよしお

30
 何とも言えず魅力的な小説でした。特筆すべきことは何も書いてない。でも、全編どこも読み外せない。読了直後に、最初から読み直したくなる。あるいは、パラパラめくって、どこから読んでもまた読める。そんな本です。「世界幻想文学大賞」の受賞作だから、死者との交流や異界を垣間見ることもできるけど、それが普通の日常と感じてしまう。登場人物たちもよく考えると、ちょっと変わった人たちなんだけど、皆いとおしい。何とも不思議だけど、しっかりとした家族たちの物語。読んで良かった。2016/09/07

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