出版社内容情報
巨きな魚の腹の中。乗っていた舟ごと呑み込まれたジュゼッペは、そこにあった朽ちかけた船で発見した航海日誌に、自分の来し方を綴っていく。彼が造った、木彫りの人形ピノッキオに命が宿ったこと。学校に行って戻ってこなかったその子の行方を捜し、小さな舟で海に乗り出したこと。そして彼の手記はさらに遡り……。絶望的な状況下、ジュゼッペ老人は何を思い、何を綴ったのか。鬼才ケアリーが描く、もう一つのピノッキオの物語。
内容説明
巨きな魚の腹のなか。乗っていた舟ごと魚に呑み込まれたジュゼッペは、そこにあった朽ちかけた船で発見した航海日誌に、自分の来し方を綴っていく。彼が創った、木彫りの人形ピノッキオに命が宿ったこと。学校に行って戻ってこなかったその子の行方を探し、小さな舟で海に漕ぎだしたこと。そして彼の手記はさらに遡り…。絶望的な状況下、ジュゼッペ老人は何を思い、何を綴ったのか。鬼才ケアリーが描く、もうひとつのピノッキオの物語。
著者等紹介
ケアリー,エドワード[ケアリー,エドワード] [Carey,Edward]
1970年にイングランド東部のノーフォーク州で生まれる。イラストレーター、彫塑家としても国際的に活躍。現在はアメリカ合衆国テキサス州で妻と子供ふたりと暮らしている。妻はアメリカの作家エリザベス・マクラッケン
古屋美登里[フルヤミドリ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
62
ケアリーの本、掛け値なしに面白い!ピノッキオの父、ジュゼッペが題材です。魚の腹の中での二年間をじっくり描きます。そもそも、『ピノッキオ』本編でのジュゼッペの二年間は「ふーん」と流して終わりそうなエピソードですが、ケアリーは父と子についての話、父から息子への思いを重層的に語ります。重く暗い雰囲気ながら隠せない笑い、そして話の合間に挟み込まれたオブジェの数々が物語世界を広げます。頭の中に生まれたカケラからオブジェを作り、それに秘められた話を語る、ケアリーならではの創作から目が離せません。2022/07/29
あたびー
45
ピノキオを作ったお父さん、ジェペットじいさん。家を飛び出し行方不明になったピノキオを探して大海原へ出て、そこで巨大魚に呑み込まれ、その中で暮らし巡らせた想いを綴った物語。 もちろん彼にも人生があったのだ!実は「ピノキオ」はディズニー映画しか見ていなくて、原作の本物の筋を知らないのだけれど、少なくともこの本にはストロンボリの人形劇も、悪い狐も、悪い子が集められてロバになっちゃう島も出てこない。 ジェペットじいさんはそこは知らないので、それは当たり前。2022/08/02
けんさん
40
『The other side of ピノッキオ!ジュゼッペ爺さんの物語』 ピノッキオを探しているうちに巨大魚に呑み込まれてしまったジュゼッペの、魚の腹の中での生活を綴った物語。暗闇の中でただ一人生活するジュゼッペの機微を、作者の挿絵が効果的に描く。自分だったら気が狂いそうだな…2022/10/19
tosca
33
内容は分からずとも、この表紙とタイトルだけで手に取りたくなる。もちろんエドワード・ケアリーによるイラストも随所にあって満足。これはピノキオを探して巨大魚に呑み込まれたジュゼッペ爺さんの物語。原作と違い(でも子供の頃の記憶だからビミョー)、そもそもお爺さんはピノキオに優しくなかった。何だかピノキオに同情してしまい、お爺さんの孤独や暗闇の中での絶望感も自業自得に思えるが、「父ちゃん」と呼んでくれたピノキオの大切さ、いなくなって気づいたのだな。孤独と暗闇の中、狂っていくお爺さん、辛い2022/09/10
ベル@bell-zou
33
行方知れずのピノッキオを探すうち巨大な魚に呑み込まれたジェッペット。先に呑み込まれていた船の中で生き長らえる間、自身の半生を顧みながら創作を続ける。父との関係が自分とピノッキオのそれと重なる自問自答は空想と現実を漂うよう。残された蝋燭の数は暗闇=絶望へのカウントダウン。そして果たして…。ピノッキオが金貨を騙し取られて投獄されてロバになったりしている間のジェッペットの物語。ジェッペットのオブジェ挿画(Eケアリー作)が物語に命を吹き込む。新刊の嬉しさに急き気味で読んでしまったのでまたいつかゆっくり読みたい。↓2022/07/18