内容説明
最大の巨匠ル・コルビュジエが到達した20世紀最高の住宅。施主からの細かな条件、オーヴァーしたコスト、度重なる設計案の変更など、建築家と施主とのギリギリのやり取りを現在の視点から読み解いていく。図面・模型写真も充実。家づくりの参考、設計・製図のテキストとしても最適。
目次
第1章 サヴォワ邸―20世紀住宅の原型(サヴォワ夫人からの手紙;チャーチ邸を見て依頼;不動産としてのサヴォワ邸―概要;実はローコスト―建設と構造;トラブル続き―サヴォワ邸のその後
著者等紹介
中村研一[ナカムラケンイチ]
1958年、横浜生まれ。建築家。中部大学教授、中村研一建築研究所代表。東京大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了。コーネル大学大学院修士課程在籍の後、槙総合計画事務所勤務(慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス、福岡大学60周年記念館などを担当)を経て、1998年中村研一建築研究所設立。2002年中部大学工学部建築学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
270
1931年、パリ近郊ポワシーに建てられたサヴォワ邸は、コルビュジエの代表作であるばかりか、20世紀の名建築として、つとに名高い。それはコルビュジエ自身が提唱した「近代建築の5原則」を理想的な形で実現しているからとされている。すなわち、5原則とは〈ピロティ〉、〈屋上庭園〉、〈自由な立面〉、〈水平連続窓〉、〈自由な平面〉である。もっとも、住むには難点もあったようで、依頼主のサヴォワ夫人が雨漏りがするとのクレームを寄せたりしているらしい。ゴシック、バロック趣味の私の嗜好からは、このシンプル過ぎる外観は⇒2024/09/01
チェ・ブンブン
13
カウフマン邸に次ぐクールな建物。レゴアーキテクチャーのサヴォワ邸を作りたいが金がないから今回本で満足することにした。光の入り方まで計算された建物に興奮。しかし日本円で2億かかっている建物なのに雨漏りが酷く、アフターサービスも悪いのが難点だ。2013/07/21
nbhd
12
数あるコルビュジエ本のなかで、今のところいちばん良いのがこの本。サヴォワ邸こそが「ザ・モダン」のフォーマットで、のちの芸術文化に影響を与えたものだと、学び知ったつもりになっていたが、どうもそうではないらしい。どうやら、ひとが暮らして初めて気づくような空間的な試みがいろいろと内蔵されているようだ。ぼくは小津安二郎の映画によくある、誰かが出てきたり、声だけが聞こえてきたりする「奥行感」が好きなのだが、サヴォワ邸にもそういった「奥行感」があるようで、見た目のザ・モダン感だけじゃないみたいだ。2017/09/16
ビーバー
1
1931年(昭和6年)にこんな住宅を設計していたなんて本当にすごい。実物を体感してみたい。ル・コルビュジェ作品を見て回るガイドブックがあるので、メモしておこう。「ル・コルビュジェを歩こう」(吉野弘、エクスナレッジ、2002年)、「ル・コルビュジェおでかけガイドブック」(林美佐)2015/05/08