内容説明
『坂の上の雲』をきちんと読み直すことは、「他国」の「脅威」を強調し、「自国の正義」を主張して「愛国心」などの「情念」を煽りつつ「国民」を戦争に駆り立てた近代の戦争発生の仕組みを知り、「現実」としての「平和」の重要性に気づくようになる司馬の歴史認識の深まりを明らかにするためにも焦眉の作業だと思えます―日露戦争を問い直す。「司馬史観」の深化と『坂の上の雲』。
目次
序章 『坂の上の雲』と「司馬史観」の深化
第1章 「国民国家」の成立―自由民権運動と明治憲法の成立
第2章 日清戦争と米西戦争―「国民国家」から「帝国」へ
第3章 三国干渉から旅順攻撃へ―「国民軍」から「皇軍」への変貌
第4章 旅順艦隊の敗北から奉天会戦へ―ロシア帝国の危機と日本の「神国化」
第5章 勝利の悲哀―「明治国家」の終焉と「帝国」としての「皇国」
終章 「愛国心」教育の批判―新しい「公」の理念
著者等紹介
高橋誠一郎[タカハシセイイチロウ]
1949年二本松市に生まれる。東海大学文学部修士課程修了。東海大学外国語教育センター教授。日本ペンクラブ会員
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