出版社内容情報
【特集】21世紀の平和の条件を問う
現代世界は明らかに危機と混迷の様相を深めている。米中露という三大国のうち米露は中東と東欧で決着の見えない戦争にはまり込んでおり、中国もまたアジア太平洋で軍備を増強し、威圧的外交を行って緊張を高めている。インフレや不況による大衆の経済的不満が鬱積し、一部では極端な主張を掲げるポピュリズム運動が影響力を拡大している。
第一次世界大戦後の秩序の崩壊を予見しつつ『危機の二十年』を著した歴史家E・H・カーは、ほどなく第二次世界大戦が始まると戦後秩序を構想した『平和の条件』を著した。その内容の当否はともかく、危機の時こそ未来像を描くことには人々に選択肢を見せる意義があった。幸い現在の世界はまだ最悪の事態から免れているようだ。過去と現在を俯瞰して21世紀の「平和の条件」を改めて構想することは、少なくとも最悪の事態を回避する役割は果たせるのではないか。敢えてこの困難かつ無謀とも言える課題に取り組んだ本特集に寄せられた諸論考が、未来に向けた論議を呼び起こすことに期待したい。
「「人類の起源」から考える平和の条件」篠田謙一(国立科学博物館前館長)+中西 寬(京都大学教授)/「共和政と帝政の岐路――政治思想から見るローマとアメリカ」川出良枝(放送大学教授・東京大学名誉教授)/「科学技術・戦争・平和――小さな公共圏への期待」佐倉 統(実践女子大学教授)/「国際金融秩序の大変容とアジアの未来」神田眞人(アジア開発銀行総裁)/「冷戦後秩序の三つの危機――統一ドイツから考える平和の条件」板橋拓己(東京大学教授)/「力の専横と中東地域秩序の変容」錦田愛子(慶應義塾大学教授)/「パックス・アメリカーナから人類的課題へ」中西 寬(京都大学教授)
【論考】川瀬剛志/伊藤恵子
【時評】上村 剛/松永智子/渡邊英理
【海外通信】鶴見太郎/細川瑠璃/三上陽一/窪田幸子/師田史子/小野正嗣
【エッセイ】藤森照信/今井むつみ/香田啓貴/奥本大三郎/渡辺 裕/トイアンナ/澤田瞳子/橋爪節也/荻野アンナ
【書評対談】小野圭司+田所昌幸
【写真で読む研究レポート】伊藤頌文/柳瀬博一
【シリーズ】鹿島 茂
【目次】



