出版社内容情報
近代はそれまでの西欧社会のパラダイムを決定的に覆した。古代への憧憬、自然回帰、産業革命、怪奇趣味……「我々の時代の幕開け」を多面的に考察する芸術論集。
内容説明
私たちの時代の感性がここに幕を開ける!19世紀は自らの内部に新たな想像力の源泉を見つけた。美術史の碩学が自選した評論により“近代”から“現代”に至る芸術の道筋を示す決定版。
目次
1 近代の誕生(近代芸術の社会学序論―芸術家とパトロン;十九世紀初頭の西欧社会 ほか)
2 芸術と革命の近代(芸術の人間的機能;ゴヤと近代芸術の革命 ほか)
3 ロマン主義と想像力(ロマン主義とその時代;ロマン主義の創造力―十九世紀文化論 ほか)
4 近代における絵画と文学(「詩は絵の如く」の伝統をめぐって;詩と絵画―変貌する裸婦像 ほか)
5 作家とは何者か(ドラクロワにおける芸術家像;『知られざる傑作』をめぐって ほか)
著者等紹介
高階秀爾[タカシナシュウジ]
1932年、東京生まれ。東京大学教養学部卒業。1954‐59年、フランス政府招聘留学生として渡仏。東京大学教授、国立西洋美術館館長、大原美術館館長、日本芸術院院長等を歴任。専門はルネッサンス以降の西洋美術史であるが、日本美術についての造詣も深い。長年にわたり、広く日本のさまざまな美術史のシーンを牽引してきた。『ルネッサンスの光と闇』(芸術選奨)などの多くの著書と、翻訳書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ラウリスタ~
9
高階秀爾の新刊?と聞いてびっくりしたが(90越え)、序文書き下ろし以外は60〜90年代の自選論文集だった。半世紀前の論文だと現代では(もちろん高階、三浦氏によって)教科書でよく知っていることだったり、あるいは戦後すぐのフランスへの憧れを感じたりで、今新刊で読むのもどうかと思うところもあったが、後半の70年代に書かれた論文は19世紀フランスの芸術と文学の関わりについて掘り下げられており、今読んでも十分に面白い。マラルメ(エロディアード)、バルザック(知られざる傑作)研究としても読める。学際って大事だね。2024/04/06