出版社内容情報
大政奉還後、幕府の残党とされ、戊辰戦争では悲劇的な大敗を喫した会津藩。細やかな考証により新しい史観を提示する歴史中編小説
孝明帝の信任厚い会津藩がなぜ朝敵扱いされたか?――
大政奉還後、一方的に追討すべき幕府の残党とされ、戊辰戦争では悲劇的な大敗を喫した会津藩。汚名返上に執念を燃やす会津人。細やかな考証により新しい史観を提示する歴史中編小説
「戊辰戦争は封建社会における武士団と武士団の最後の戦いといわれるが、本来の士道からはほど遠い残虐性を帯びていた。
会津の運命は、容保が京都守護職を押しつけられた時点でなかば決まっていたようなものだが、その過程を見ると、慶喜に裏切られ、春嶽に裏切られ、同盟を結んだ諸藩にも裏切られた挙げ句、朝敵といういわれなき汚名まで着せられるという、あまりにも過酷な道程をたどった。
降伏式に列席した会津藩士たちは、東征軍のために敷かれた緋色の毛氈を細かく切り、この日の悔しさを終生忘れないようにと、その切れ端を全員が持ち帰った。この緋毛氈は「泣血氈(きゅうけつせん)」と名づけられている。」(「五 落日・士魂の終焉」)
感想・レビュー
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aloha0307
4
何年か前、子息の鹿児島行き修学旅行を断固反対した福島県の父親のNewsを思い出す。本書を読み終え、そのわだかまり(より強い感情か)も理解できる。なぜ会津藩だけが朝敵とされてしまったのか?いざ、勝者・敗者となってしまえば何でもあり...極めて忸怩たる思いがする。 明治維新は理想を掲げた革命ではなく、単なる主流派争いの内戦という見方が適切と思えてくる。歴史史観は様々 人・郷土・好みによって違ってくるのが歴史の面白さである。徳川慶喜はさておき、松平春嶽&西郷頼母の描かれ方が大河:八重の桜 とかなり異なっていた。2015/08/14