内容説明
テレビドラマなどで親しんできた豊かで幸せなアメリカの家族像が、実は「どこにもなかった過去」であることを明らかにした話題の本。日本の家族問題を考える上でも有効な一冊。
目次
第1章 理想化された過去―家族の危機とは何か
第2章 「ビーバーちゃん」と「オジーとハリエット」―1950年代のアメリカの家族
第3章 「私の母は聖人でした」―個人主義、ジェンダー神話と愛の問題
第4章 私たちは誰にも頼らずやってきた―自助の精神とアメリカの家族
第5章 強力な家族の絆こそ社会基盤の充実―家庭的価値と市民としての義務
第6章 家庭は男の城である―公的権力の家庭への介入
第7章 ブラジャー焼き捨てと家庭破壊―フェミニズム、働く女性、消費文化、そして家庭
第8章 「愛が実り、二人はめでたくゴールイン、そしてこうのとりが…」―結婚とセックスと生殖
第9章 有害な親、ママゴンと父親不在―親業を正しく見る
第10章 未婚の母、はみだしものの少年、クラック・ベイビー、下層階級―黒人家庭の崩壊という神話
第11章 危機の再点検
終章 新しい伝統を創る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イボンヌ
8
日本でも選択性夫婦別姓が問題になっていて、あたかも古代から夫婦が同姓なのが伝統かのような誤解がありますね。 創られた伝統と神話の類いでしょうか。 家族史の専門家による著者です。2021/03/14
くさてる
2
素晴らしく刺激的で、興味深かった。アメリカにおける家族関係の変容が社会にもたらした影響についておよび、伝統的家族像の崩壊が様々な社会問題の元凶であるという、もっともらしく信じられている神話とその現実に関して、歴史的な観点及び統計調査などの客観的な指標を用いて解説した内容。昭和30年代ノスタルジー、江戸回帰などの考えが人気を集める日本にも、きっとあてはまる部分が多いはず。自分の思い込みやなんとなく信じていたことが、訂正されていく感覚が、とても知的に心地良かった。2011/12/12