内容説明
3・11後の建築は、ここからはじまる。自然と敵対しない建築とは?10万年スパンでみた人の営みとは?最前線で生きる2人が、建築と日本の未来を説き尽くす。
目次
第1章 地域と公共性の大転換(建築の公共性をあらためて考える;復興「都市計画」への違和感を乗り越える;被災者がつくる「みんなの家」を手伝って ほか)
第2章 人と自然の大転換(「伊東豊雄の建築」を中沢新一と考える;自然と人間をわけない建築;縄文のこころと建築 ほか)
第3章 エネルギーと建築の大転換(エネルギーの存在論を考える;原子力は生態圏外のエネルギー;太陽が降り注ぐ「贈与(ギフト)」 ほか)
著者等紹介
伊東豊雄[イトウトヨオ]
建築家。1941年、京城市(現ソウル市)に生まれた後、父親の郷里の長野県へ戻る。伊東豊雄建築設計事務所代表。主な作品に、せんだいメディアテーク、TOD’S表参道ビル、多摩美術大学図書館(八王子キャンパス)、二〇〇九高雄ワールドゲームズメインスタジアム(台湾)、今治市伊東豊雄建築ミュージアムなど
中沢新一[ナカザワシンイチ]
思想家、人類学者。1950年、山梨県生まれ。明治大学野生の科学研究所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nbhd
13
対話のテーマは「チベット人に言わせれば、大地の下には蛇や龍がいて、これがとぐろを巻いていつも螺旋運動をしているのですが、その上に線形思考で設計された建築物を建てると地下の蛇や龍が怒り出す(中沢)」みたいなこと。建築の最前線に立つ伊東豊雄さんの言葉がステキ→「ヤゴを捕まえてきて、それを洗面器に入れておくと、朝方、ぱかっと割れて、ほとんど乳液のような色のトンボの幼虫が出てきます。空気に触れると、ほんの数分で色づいて形をもってくる。でもその形をもつ直前の状態、そういうことが建築でできないかなと…」2017/09/15
oasam
2
「建築の」とありますが、建築に限定せず広く文明について語っているもので、興味深く読み通すことができました。活躍する分野の異なる二人が共通する問題意識を持っていて、話がしっかりかみ合っているのも、好奇心を刺激します。2018/02/11
てきめん
2
伊東豊雄さんの建築に興味が出たので読んでみました。「みんなの家」に感銘を受けました。これからその取組みが、どのように転換していくのでしょうか?2014/08/31
武蔵野
2
中沢新一と建築って組み合わせいままでなかったよなあ2013/02/25
2n2n
2
20世紀の社会は科学と数学によって作られ、自然は無視され見ないふりをされてきた。これは建築に限った話ではなく、経済やエネルギー分野などあらゆるものがモダニズムの理論で作られた。しかし3.11を機に、これまで無視され続けた問題が一気に露わになった。この問題に立ち向かうには、根本からの大転換が求められる。伊東は建築家として、建築の自然との調和や、東日本大震災の被災者のために何ができるのかを模索し続け、中沢は思想家として、この問題を探るきっかけとして自らの思想を論じる。そんな本2012/12/11