内容説明
維新以後の理念なき乱開発と戦後のバブル経済によって疲弊させられてきた首都東京。地球環境の危機に直面しつつある今、都市の歴史の中に住民主体の生態学的な街づくりを提唱する東京再生のシナリオ。
目次
第1部 世界に誇るべき歴史的都市を破壊した政治経済と公共工事の後始末(南まわりでイタリアへ渡り、都市と人間に目覚める;日本には六つの世界的都市計画を導入した素晴しい都市の歴史があった ほか)
第2部 地球環境時代における東京の再生五〇年のシナリオ(東京の危機克服には財政再建と環境整備と規模縮小が不可欠である;自然エネルギー、リサイクル、無公害の環境技術でアジアとの協力をはかる ほか)
第3部 水系別にみた歴史的地域空間の補修改造と活性化(世界を知り日本を知り自分自身を知る場としての首都都心千代田;山の手の河川流域に広がる葉脈状の、生態学的な生活空間を再生する ほか)
第4部 都市文明の中に住みやすく美しい東京の生態学的ヴィジョンを探る(ヨーロッパの都市の生態系と世界制覇の手法;アジアの都市文明の中に東京再生のヴィジョンを探る ほか)
著者等紹介
河原一郎[カワハライチロウ]
建築家、法政大学名誉教授。1926年生まれ。1947年、東京大学工学部建築学科卒業、前川国男建築設計事務所に勤務。1960年、イタリア政府給費留学生としてミラノ・ポリテクニコに留学。モリーニ、マンジャロッティ、スウェーデンのトールンベルグ建築設計事務所勤務をへて、1965年、法政大学工学部建築学科教授に就任、自身主宰の建築設計事務所を開設。以来、都市計画に関する各種の審議会、諮問委員会のメンバーとして内外の建築および地域都市の都市計画について積極的に提言を行なう。特に東京への取り組みはライフワークとなる。建築設計監理作品は、法政大学学生会館、星陵会館、渋谷教会、銀座アスタービル、世田谷区民斎場みどり会館、個人住宅、共同住宅等。著作に『東京に希望と再生を―プランで考える都市文明と環境』(編著、PROCESS:Architecture,No.129)『都市の復権と都市美の再発見 ローマ・東京』(共編著、法政大学出版局)『Qualit`a Della Citt`a e Progettazione Urbana』(共著、Mazotta,Milano)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。