内容説明
「今という時代がいかにして身を震わせたか」、そのさまざまの「ポーズ」を「スナップ・ショット」で撮るように、この日記は書き始められた。ナチス占領下から解放まで三年余のパリの動静と幅広い交友の様子が生き生きと描きだされる。映画・演劇・文学・政治にわたる記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
5
詩人、作家、映画監督であるジャン・コクトーが、第二次大戦下にドイツ軍に占領されていたフランスで綴った日記。この一巻は、1942年3月から12月まで。当時のパリの文壇、演劇界等の人士との交流が中心で、ところどころに当時のヴィシー政府の事等が書かれている。首相のダルランの解任とラヴァルの後継指名に対して、外交関係のあったアメリカが「好ましくない」と表明していたなど、今では余り省みられない出来事も。この年、ヴィシー時代の代表的映画の一つ「悪魔が夜来る」が公開されたが、コクトーの評は厳しかった。2017/09/27