出版社内容情報
近代中国学の創始者、内藤湖南。その史学はなぜ今も魅力的なのか。学問の全貌と思想的背景を明らかにする。生誕150年記念刊行。
高木 智見[タカギ サトミ]
内容説明
理想を誠実に追求、その実現へ向け努力。他者の境涯に身を置いて理解する―誠と恕の実践に見る、近代人文学の原点。湖南の学問はなぜ面白いのか?不朽の魅力に内側から迫る。
目次
序章 今こそ内藤湖南―湖南とは何者か
第1章 中国学者・湖南の誕生―湖南はいかにして「湖南」になったのか
第2章 孟子と湖南―早期湖南はなぜ激越だったのか
第3章 歴史認識とその背景―湖南はなぜ面白いのか
第4章 湖南史学の形成―面白い歴史はいかにして書かれたのか
第5章 湖南史学の核心・心知―テキストはいかに理解するのか
第6章 湖南を以て湖南を読む―湖南執筆文をいかに鑑別するのか
終章 湖南の面白さの意味―誠と恕の精神
著者等紹介
高木智見[タカギサトミ]
1955年生まれ。専門は中国先秦文化史・中国古代思想。名古屋大学大学院博士課程修了。現在、山口大学人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
4
中国古代史の研究者による内藤湖南論だが、その方面の議論は第四章の3に見える程度である。第六章を丸々割いて、湖南による代筆文・代作文の問題や無署名文の存在と、それらの『内藤湖南全集』本体への収録及び「著作目録」への著録の基準が明確ではないという問題を論じているのが特徴か。本書では、「得失」で言えば内藤湖南の学の「得」について論じているが、「失」の部分、その学問の限界についも論じて欲しかった気がする。2016/11/28
錢知溫 qiánzhīwēn
0
現代的課題に引き寄せ過ぎた讀みなのではないか、內藤湖南を持ち上げ過ぎなのではないかとも思うが、高木先生の情熱にはいつも敬意を覺える。 むしろ素晴しいのは、內藤湖南ではなく、それを語る高木先生の方なのかもしれない。「語る」という行爲はそれによって話者自身がどういう人閒であるかを示すものではないだろうか?學術關係者の方は「硏究者の爲人や治學何如を觀たいのであれば書評を見よ」としばしば言う。なるほど、往々にして人は他者を評することばに其人の本質が顯われるものだ。2022/06/13