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出版社内容情報
一本の女の樺の木に恋をした土神。恋敵の狐と競いますが勝目はなく、悲しみ、悶え苦しみ暴挙に出てしまいます。悲しい恋の物語。 小学校中学年から一般むき
内容説明
谷地に住む土神は、粗野で乱暴な土地の神でしたが、一本木の野原に立つ、きれいな女の樺の木に心惹かれていました。ところが樺の木にはもう一人の友達がいて、樺の木は、その気取り屋でやさしい狐のほうを好きなようなのです。土神は切なさと嫉妬に悶え、苦しみぬいた末、なんとか樺の木への執着と狐への憎しみを克服しようとしたのですが…人間の存在を修羅とみなした宮沢賢治が、その修羅性とそれによって生じた悲劇をあからさまに描いた、異色の童話。この作品のもつ独特の世界を、中村道雄が組み木絵で表現しました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリー
95
「人」の心には、「神」と「獣」の性格が分かち難く同居していると私は思います。宮沢賢治は、その二つの性格を「土神」と「狐」にそれぞれのブレンドで注ぎ込み、二人の極端な性格の主人公を生み出したのではないでしょうか。教養と美貌を兼ね備えた狐には嘘をついてしまう性格を、正直で嘘のない土神には嫉妬という性格を多めに注ぎ込んだように思えます。二人間で板挟みになる樺の木に感情移入しながら読みました。土神の目がいつも赤いことにも意味がありそうです。土神は正直さと嫉妬の感情が混ざりあった結果、怒りの感情に支配されたのでは?2019/11/02
紫綺
75
嘘と嫉妬を描く既読の話だが、何種類もの木を組み合せて描かれた「組み木絵」がスゴい‼着色せず木目の優しさそのままの絵本は、もっと温もりのある話に合わせて欲しかった。2018/03/04
井月 奎(いづき けい)
41
だれもが土神で、だれもが狐なのです。そしてだれもが樺の木なのです。自分の意見が考えが、自分のものだと言うだけで信用する事ができない、それが本当なのです。樺の木に恋する悲しい狐の、本当。自分を持て余す土神、なぜ自分が自分なのか分からないのも悲しいけれど、その自分を守らないと、自分がいなくなってしまうのかもしれない。強いのか弱いのか分からない。樺の木を好きなこと、本当はそのことだけ。土神が狐にふるった暴力はそれは自分の心に帰ってきます。樺の木は戻らないだろう二人をずっと待つのです。ハイネの詩が綺麗に、悲しく。2016/10/16
kiisuke
40
素晴らしい物語でした。とてもとても悲しいのですが自分も含めて人間ならきっと誰もが知っている感情を、登場する三者みんなから感じました。その感情は醜くも見えるけれどその裏には多分美しさも隠れているはず。個々に表現の方法は違っていても心のなかに光と闇を誰もが持っていて、悪いだけの人なんていないし醜いだけのことなんてないのではないでしょうか…。これから先ずっと、心に残る物語になりそうです。組み木絵がまた素晴らしく、この物語の独特の世界がさらに印象深く残ります。宮沢賢治の作品をもっともっと読んでみたいと思いました。2016/10/23
gtn
35
嫉妬に狂い、やがて平穏を取り戻し、再び瞋恚の炎に包まれ、そして見悶えながら後悔する土神。自分は神だというちっぽけなプライドは、縁に触れ、瞬時に移ろう心をコントロールする足しにはならなかった。ただ、そんな弱い自分を自覚しているところが救いといえば救い。2021/04/21
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