出版社内容情報
かつて多くの民族に首狩りの文化が存在した。フィールドワーク、豊富な文献資料を用いて、その実際と精神史的背景を考察する。人類は、なぜ首を狩りたがるのか!
内容説明
「首狩」とそれに関連する「首取」、「頭蓋崇拝」、「頭皮剥ぎ」、「人身供犠」のなぜ?首狩の精神的背景と意味を、フィールドワークと膨大な文献から解き明かす、世界初の研究書。
目次
序章 首狩と日本人(首狩の復活?;日本の首狩? ほか)
第1章 生業と世界観―宗教民族学の見取図(宗教民族学とは;狩猟採集民の世界観 ほか)
第2章 首狩・頭骨・カニバリズム―世界を視野に入れて(関連する諸習俗;首狩の研究史 ほか)
第3章 東南アジアの首狩(“首狩文化複合”;近現代史における首狩 ほか)
第4章 台湾原住民の首狩(台湾の原住民;探検の時代 ほか)
終章 なぜ首を狩ったのか?―農耕・神話・シンボリズム(イェンゼンの学説;起源神話と世界像 ほか)
著者等紹介
山田仁史[ヤマダヒトシ]
1972年宮城県仙台市生まれ。東北大学文学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程満期退学、ミュンヘン大学ドクター・デア・フィロゾフィー(Dr.phil)。宗教民族学・神話学専攻。現在、東北大学大学院文学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春風
10
世界各地の首狩を網羅した世界初?の本。成人したら首狩、結婚のために首狩、首長が死んだら首狩、喪が明けたから首狩、豊作を願って首狩、とナチュラルに首を狩る人々。2015/04/05
ハチアカデミー
4
「首狩は決して、現代社会とまったく無関係な過去の風習ではない」その精神的背景をひも解けば、行為こそ異なれ、現在でも変わらない社会的・宗教的価値観の現れであることが見えてくる。豊饒をもたらす人間の殺害という型を持つイェンゼンの「ハイヌヴェレ神話」の考察から、人を殺し・祭ること、それを語ることの文化的普遍性を、「食人は有用植物を食べる代わりに、有用植物に姿を変えた神を食べること」であるという指摘から、人間/動植物を変換可能な存在として見る心性を見出すことができる。血生臭い行為の背景にある文化が考察されている。2016/02/15
AR読書記録
4
子供の頃、やたらめったら“首狩族”を恐れていて、それこそ家のなかでも、暗いところに潜んでいる“野蛮”で言葉も通じない獣のような首狩族にいつ襲われるかと、一人で電気のついていない部屋にいけなかったりした。今は、首狩が、その民族が“野蛮”だから行われたというわけでなく、その時代その社会においてはある種の合理性をもった行為であったのだろうと思うくらいには知恵はついたので、その合理性がどのようなものか知りたく思った。が、やはり文字記録もなく口承もさほどというなかでは、なかなか研究も難しそう。さらなる深化を待つ。2015/05/24
takao
1
ふむ2019/11/10
YukoNexus6
1
#読書フェス 読書は体調に大いに影響される。1p読むごとに眠気に襲われながらちびちび読んでいたものが、終盤にかかるにつれてどんどん面白くなった。はじめに読んだことは、ほとんど忘れている。再読用に置いとかなくちゃ。 日本でも明治の初期までは盛んに首切りしていた。本書では首狩と首取と首級を区別しているけど、その底に全世界共通で多分流れている血なまぐさい通過儀礼や祈りの潮流を感じる。たまたま淀みができるように、習慣が近年まで残っていた場所があるだけで。オレンジの服を着せて首切り処刑する風習も新たに生まれたし。2018/06/19