彷徨う日々

彷徨う日々

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  • サイズ B6判/ページ数 278p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784480831736
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

1970年代ロサンジェルス。孤独な人妻ローレンと、記憶をなくした男ミシェルが運命的に出会う。ロサンジェルスが砂嵐で埋め尽くされたある日、ふたりは激しく愛し合うのだった。一方、1900年パリ。双子の兄弟がポン・ヌフに捨てられた。娼館の娼婦に拾われたひとりはアドルフ・サールと名づけられた。やがて成長したアドルフは映画に魅せられ、『マラーの死』という長篇映画をつくり始めるが…。砂嵐のロサンジェルス、放火の炎もえ上がる厳寒のパリ。運河の涸れたヴェネツィア。ローレンとミシェルの恋愛は?アドルフの監督した伝説の映画の行方は。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

らぱん

46
一気読み。淡々とした描写にリズムがあり不思議な疾走感に引き込まれた。交錯する二つ時代の恋愛は因縁めいた関係性で、過剰な情熱や濃密な性描写は詳細であればあるほど現実から乖離していく。内面世界の叙情性が侵食した現実の中の幻想は不穏な気配が漂い、時に悪夢じみているのだが、生き生きとしていて魅力的だ。全体が映画的で寄りや引きのフレームワークと独特な場面転換も抜群で、中盤の映画製作のくだりも面白かった。旅に終わりはなく現実とは夢の残滓に過ぎないという嘯きがどこからか聞こえてきて、もの寂しい気持ちになり溜息が出た。↓2019/09/22

em

18
時間、血縁、関係性が揺らいでいくエリクソン節。読後、大きな謎がひとつ残りました。ところで心に残るエピグラフを選ぶ作家は、それだけでポイントが上がったりします。本書を読み終えた後、しばらくエピグラフの頁を広げて眺めていました。「旅人は自問した……もし一生が終わり、それまでの道程が無となれば 悲嘆が始まったあの場所へ帰ることになるのだろうか?自分に与えられたアイデンティティをまたも散逸させ 別れを告げ、旅立つことになるのだろうか?――パブロ・ネルーダ」2017/08/03

aoneko

13
濃くて楽しい。ロサンゼルスーパリーヴェニス、めくるめく幻想シーンに次ぐ幻想シーンに、次は何を見せてくれるんだろうとワクワクする。くらくら、ドキドキもする。低いのか高いのか分からない温度、モノトーンを思わせるけど光や音を感じたり溢れた言葉で満たされていくような世界に酔う。シラフに戻ると、ベルベル族の奴隷みたいにあなたに仕えたい。には、え?ってなったけど、そこかしこに驚きがあるし、おそらく作者の感性なんだろうなと思う部分に引き込まれるというか。陶然たる余韻。2013/12/22

三柴ゆよし

11
メロドラマだよなこれというのが読みながらの感想(下手すれば昼ドラ以上に昼ドラ的)だが、そうしたメロドラマ的世界に不意に侵入してくる幻想の質は驚くほど暗く硬質で、まるで夜の壁に亀裂が走るような不穏さを孕んでいる。<運命>を声高に叫ぶのは若者だけに許される特権のひとつ。曲がりなりにも成熟した男女ふたりがそれはないよね……と肩をすくめた場面は相当に多いのだけれど、エリクソンにおいて重要なのは外的な時間の流れではなく、あくまで内的な時間の流れのはずで、かくも情動に満ちあふれた作品が生まれたのはむしろ必然といえる。2011/12/03

たー

10
う~ん。何かすごいものを読んでしまった。2012/09/27

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